クレイジーなエンジンと平凡なブレーキ

 

私は免許を取って初めての車がS15のNAで、6年10万km以上乗ってきた。160馬力の非力なパワーでどうしたら速く走らせることができるかと考えながら走るのは楽しかった。ドンガメのS15で速い車を追い掛け回す快感を覚えた。気分はイニシャルDの藤原拓海である。(笑)

 

それでも、ピュアスポーツ、VTEC、オープンカーへの憧れを捨てきれなかった。
1999年にホンダ50周年記念モデルとして華々しくデビューしてから18年後の2017年、私はS2000のオーナーになった。グレードは2003年式の130系のAP1。VGS付きのタイプVだ。

 

F20Cの実力は凄まじく、同じ2リッターNAとは思えないパワーに圧倒された。
せいぜい6000回転ぐらいまででパワーが頭打ちになるS15に比べて、S2000はそこから先が真骨頂。2段ロケットのように9000回転まで狂ったようにフケ上がる。VTEC恐るべし。

 

コーナリングもS15とは全く異なっていた。攻めていくと必ずアンダーになるS15に対し、S2000は怖いぐらいよく曲がった。挙動もズルズルとリアが流れ出してからようやくカウンターを当てても間に合うS15とは打って変わって、S2000はまるでコマのように一瞬でリアが流れるため、全く気が抜けない。

 

『ピュアスポーツとはこういうものか』

 

鬼レスポンスのクレイジーなエンジンとカミソリのように鋭いコーナリング。
私はS2000の魅力にどっぷりと浸かっていた。

 

 

そんなS2000だが、ひとつ気に入らない点があった。それはブレーキである。
はっきり言ってブレーキは、S15の方が圧倒的に良かった。私のS15はフロントブレーキ一式がR33タイプMの対向キャリパーにそっくり交換してあり、リアはビッグローター化と一通り手を入れてあったため、フィーリング、効き、コントロール性は抜群だった。

 

それに対して、S2000はフロントがスプーンのモノブロックキャリパーになっていたが、ブレーキはイマイチだった。ON・OFFしかできないような初期制動の強いカックンブレーキで、踏力を上げていっても効きが変わらず、とても乗りにくかった。

 

おまけにリアはFFのシビックやインテグラと同じソリッドローター。前後重量配分50:50のS2000とフロントヘビーのFFが同じブレーキで良いはずがない。S2000のブレーキ容量が足りないことは明白だった。

 

車の走りを評価するのに、走る・曲がる・止まるの3つの物差しで尺度を計る。
走るは加速性能、曲がるは旋回性能、止まるはブレーキの性能だ。

 

S2000は走る・曲がるは一級品であるが、止まるは平凡な車。
ならば、止まるを一級品にすれば、S2000は真のピュアスポーツになれるはずだ。

 

そんな志のもと、S2000のブレーキ強化大作戦は始まった。


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