シルビアに6年10万q乗る中でどんな改造をしてきたか
私が18歳で免許を取ってから最初に乗ったのはS15シルビアであり、NAのATだった。女性ワンオーナーのフルノーマル車で走行距離3.5万qの程度の良い車だった。そんな「大人しいシルビア」をどんな発想でチューニングしてきたのか書いてみたいと思う。
最初は「MTへの載せ替え」
シルビアを買ってもらった辺りの私は今思うと完全に血迷っていて、「AT」を欲しがっていた。そのため両親はATのシルビアを買ってくれたが、私はすぐにATがつまらなくなり、親父の知り合いに頼んでMTに載せ替えてもらった。
18.5万円というお金が掛かったがMTになって非常に満足した私は、それから「チューニング」という面白さにのめり込んでいくのであった。
まずはホイールのインチアップでしょ!
私の両親はスポーツカーに乗っていたわけではないが、車好きらしく、私に「ホイールのインチアップ」を勧めてきた。私のシルビアは完全ドノーマルだったので、ホイールも純正の15インチのままであった。
当時「ツライチ」なんて言葉は知らなかったが、なんとなく小さくて引っ込んでいるように見える純正ホイールがかっこ悪く思えた。一度気になると、そこばっかり気になってしまうのは私だけではないだろう。
私はすぐにホイールを交換してみたいと思うようになった。
でもそのとき私は大学生になりたての18歳で新品でホイールやタイヤを買える財力は当然ない。
自動的に「中古」という選択肢になった。その当時はヤフオクなどを使ったことがなかったので、実店舗が近くにある「アップガレージ」で中古のタイヤホイールセットを探してもらった。
確か5万円程度で前後17インチ化することができた。
タイヤの銘柄やホイールの製造方法なんてもちろん知らない。
「ただ、直感でかっこよくて安かったからそれにしただけである。」
最初はそんなもんだよね。今ならタイヤのグリップが〜とか、ホイールは鍛造が良いな〜とか色々判断基準があるけど、当時はよくわからなかったな。
しばらくそれで走っていると新たな不満が…
前後17インチ化してかっこよくなったと大満足だった私だが、段々と乗っているうちに不満が沸いてきた。
それは、
「タイヤとフェンダーの隙間が大きくて気になる」のと「ロールが大きすぎる」の2点である。
どうすればこの不満を解消できるのか
当時は知識が全くなかったので、「車高調」の存在すら知らなかった。ただなんとなく、「隙間が大きいなら車高を低くすればいいんじゃないか」と思って調べてみると、「車高調」というもので世の車好き達は車高を下げているらしいということがわかった。車高調は車高調整式サスペンションの略だが、「純正形状タイプ」や「ねじ式」、「全長式」などあり、さらに単筒式や複筒式などかなりの種類があった。さらに車高調のばねの硬さを変えることで「ロールを小さくすることができる」こともわかった。
そんなとき、事故って純正のサスをだめにする
そんなことを考えていると幸か不幸か事故ってしまった。右フロントからハードに土手に突っ込み、純正サスをひん曲げてしまった。どうやら修理は不可能でサスを用意しなければならないらしい。
そうなればやることはただ一つ…。
せっかくだから車高調にしちゃえ!
そんな勢いだけで車高調に交換した。もちろん新品を買うお金は持ち合わせていないので、またもや「アップガレージ」で中古を調達してきた。予算は5万円ほどだったため、まともな車高調を買えるわけはないのだが、なぜか私はきっと大丈夫と信じてテインの車高調を買った。そして車高調を付けてもらうためにウキウキしながら整備工場に持っていくと、さっそくこう言われた。
「この車高調、抜けてるよ」
それだけは聞きたくなかった。パッと見綺麗だったので大丈夫かと思っていたが、ド素人とプロは当たり前だが見る目が違う。瞬時に車高調の状態が悪いことを見破ったのである。
それでも買ってしまったものはしょうがないので、そのうちOHする前提でとりあえず付けてもらった。
不満点を解消することに成功!
車高調に交換することで、不満だった「タイヤとフェンダーの大きな隙間」と「大きすぎるロール」はみごとに解消できた。
次の狙いはマフラー交換!
スポーツカーに乗ったらやってみたくなるチューニングが「マフラー交換」だろう。マフラー交換によって排気音がスポーティになることを狙ってみんなやりたがる。私も例にもれず、マフラー交換を行った。(笑)
この頃になってくると、口コミを調べるようになってくる。ネットで検索すれば、目当てのマフラーを装着した車の排気音が動画であったりするのでイメージしやすい。「大体こんな音にしたい」という願望がみんなあるんだけど、なかなかその通りの音にはならないことが多い。やはり動画で聞くのと、実際に自分の車に付けて運転してみると結構違うものである。
またもやアップガレージで中古マフラー購入!
とりあえず口コミと動画でリサーチして良さげなマフラーを中古で購入してみた。お値段は確か3万円だったと思う。このマフラーはインナーサイレンサー付きで、ジェントルな車検対応モードとやる気モードをサイレンサーの取り外しでできる優れもの、と言いたいところだが今時当たり前である。(笑)
マフラー変えると一気にスポーツカーらしくなるね
知り合いの整備工場で交換してもらったのだが、もうウキウキしっぱなしだったことを良く思い出す。私は変化が好きなんだとつくづく実感する。
エンジンを掛けてみると純正とは異なるスポーティーな音。だが予想以上に音が小さく感じた。
「これだとあまり変わった気がしないな」
そう思ったのも事実である。実際車検対応のマフラーって結構控えめな音量で、普通に街乗りしたぐらいだとあまり変わらない。試しにレッドゾーンまで回してみると、純正とは明らかに違うサウンドであり音量も純正よりも大きくなっているのがわかった。乾いたサウンドはやっぱりいいなと実感したのであった。
またしても事件発生!(笑)
ある日、近くの峠に走りに行った帰り道のことであった。
5速に入れ軽く流していると、何の前触れもなくマフラーが「爆音」になった。どうやらインナーサイレンサーが吹っ飛んだらしい。実は峠に走りに行く前、私はあることが気になっていた。それは、
「インナーサイレンサーを取っ払ったら、どんな音がするんだろう。」
である。やっぱりインナーサイレンサーを付けてるとイマイチ変わった感じがしないし、なにより爆音モードも体感してみたいではないか。思い立ったらすぐ行動ということで、走りに行く前に取り外そうと「みんカラ」を調べてみた。みんカラによると、私が買ったマフラーはねじ4本で止まっているだけで簡単に外せるらしい。そうなるともう止まらない。私はすぐに家にあった適当な工具で取り外そうとした。
しかし、どうしてもあと1本が外せなかった。(笑)
しかも外したねじ3本を元に戻すこともできなかった。
仕方なくそのまま峠に走りに行ったのである。そして事件は起きた。
それまで大人しい音量だったので、インナーサイレンサーが外れた瞬間、何が起こったのかわからなかった。突然うるさい車が後ろにべた付けしてきたのかと思った。しかし、バックミラーで後ろを見てみても1台も走っていなかった。そこでようやく理解した。「うるさいのは俺の車だ!」と。
背徳感に高鳴る鼓動を感じながら、交番前を通過
インナーサイレンサーが外れた私のシルビアは「かなりうるさかった」。それと同時に「俺が求めていたのはこれだ」とも思った。興奮気味にアクセルを吹かしてみる。まるで別物だった。レッドゾーンまで回してみるとエンジンはまるで雄叫びをあげているかのようで、かなりレーシーなサウンドだった。
「たまらないね」
素直に私はそう思った。それからというもの、シルビアを降りるまでの数年間でインナーサイレンサーを装着したことは一度もなかった。それだけ気に入っていたということだろう。
私の今の感覚だと「ありえない」音量だが、誰にでも若気の至りに身を任せる時代があるだろう。その当時の私はまさに「若気の至り」全開だった。