街乗りでも習得できる!「荷重移動」の上達法とは?
スポーツドライビングの話になると必ずや話題になる「荷重移動」
あなたは普段の運転でどれくらい荷重移動を意識しているだろうか?
今回は私が日々の運転で心掛けている「荷重移動」について話しをしてみることとする。
荷重移動はスポーツドライビングだけでなく、車を運転する際には非常に重要な要素であり、日々のドライビングから見つめ直すことをオススメする。
荷重移動とは?
出典:ポルシェ911
実は日常的に体感している
そもそも「荷重移動」とはなんなのか?
実は荷重移動を体感する瞬間は日常的にあって、例えばこんな場面に荷重移動を体感するのではないだろうか?
友達の車で買い物に行く最中のこと、友達がハンドルを握り、あなたは助手席で友達と楽しくお話していると、急に道路の脇から子供がボールを追いかけて飛び出してくる。
危険を察知した友達が急ブレーキを踏んだその瞬間、体が前に引っ張られ、車も前のめりになる。
これが「荷重移動」なのである。
友達が完全に止まるまでブレーキを掛け続けると、止まった瞬間に前のめりになっていた体は今度は後ろに引っ張られるという経験をしたことがあるだろう。
これはブレーキによる荷重移動の一例だが、ブレーキに限らずアクセルを踏むことでも荷重移動を起こすことができる。
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荷重移動は慣性の法則が関係している
出典:だるま落とし
慣性の法則とは
@一定のスピードで動いているものはそのまま動き続ける
A止まっているものは止まったまま
である。簡単に言うと慣性の法則とは、「ドライバーが何か操作したとしても、車は同じ動きをし続けようとする」ということを示している。
この、「ドライバーが何か操作したとしても、車は同じ動きをし続けようとする」ということがポイントで、
あなたが運転する車が、スポーツカーであろうとミニバンであろうと、F1であろうとすべて慣性の法則に従うのである。
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荷重移動はなぜ起こる?
出典:シトロエン
あなたの操作が荷重移動を引き起こす
車は何もしなければそこに停まったままである。
車はあなたがハンドルやアクセル、ブレーキなどを操作することで今までと違う動きをさせたとき、荷重移動は起こるのである。
これだといまいちピンとこないと思うので具体例を以下に用意した。
具体例@:時速60kmで走っているとき、信号が赤になったのでブレーキを踏んで停止した。
この場合では、車は時速60kmで走り続けようとしている。
そこにドライバーであるあなたがブレーキを踏み減速させようとする。
しかし車は同じ動きをし続けようとするため、ブレーキが掛かっても時速60kmで前に進もうとするため、結果として車の荷重は前に移動し、今まで何度も経験してきた前のめりの姿勢になるのである。
具体例A:赤信号で停止していると、信号が赤から青にかわったので発進した。
この場合では、赤信号で停止している車は停止し続けようとする。
そこにドライバーであるあなたがアクセルペダルを踏みこみ発進させようとする。
しかし慣性の法則により車は停止し続けようとするため、アクセルペダルを踏み込んでも停止し続けようとするのである。
その結果、車の荷重は後ろに移動する。
荷重移動は「自分でコントロールするもの」
出典:土屋圭市
荷重移動はドライバーがコントロールできる
荷重移動は同じ動きを続けようとする車にドライバーが何らかの操作をした結果、車の動きが変化することで起きる。
つまりドライバーであるあなたが操作した結果として荷重移動が起きるのである。
アクセル、ブレーキ、ハンドルで荷重移動をコントロールせよ!
前に荷重を移動させたかったら「ブレーキ」を、後ろに荷重を移動させたかったら「アクセル」を、右に左に荷重を移動させたかったら「ハンドル」を操作すれば、荷重移動を自由にコントロールできる。
前に荷重を移動させるときは、ブレーキを掛けるだけでなく、アクセルを抜くことで掛かるエンジンブレーキもその一種である。
2つの操作を混ぜれば1つのタイヤに荷重を掛けることもできる
例えば、「ブレーキ」を踏んだあと「ハンドル」を左に切る。
そうすると「ブレーキ」によってフロントの2輪に荷重が移動し、さらに「ハンドル」を左に切ることでフロント2輪に移動していた荷重が、フロントの右タイヤに移動する。
これは「アクセル」を踏みながら「ハンドル」を切ったり、「ハンドル」を切りながら「ブレーキ」を掛けたりすることでも可能である。
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実際に荷重指導をコントロールしてみよう!
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アクセルワークで荷重移動をコントロール
停止している車をアクセルで発進させるとき、アクセルペダルを強く踏むか弱く踏むかで加速が変わり、荷重移動をコントロールすることができる。
アクセル全開のロケットスタートを決めれば、一気に荷重が後ろに移動し、体がシートに押し付けられるが、
反対に緩やかに発進すれば、荷重移動があまり起きないため、体がシートに押し付けられるほどの荷重移動は起きない。
まずはこの違いをしっかり体に叩きこむことである。
ブレーキングで荷重移動をコントロールする3つのコツ
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@ブレーキを掛け始める瞬間
アクセルを一定に踏んでいる状態からブレーキペダルを踏み、ブレーキを掛ける。
このときブレーキの踏み加減によって荷重移動の度合いが変化する。
ブレーキペダルを強く踏めば一気に荷重が前に移動することでノーズダイブが起きるが、そっとやさしくブレーキペダルを踏めば荷重移動があまり起きず、ノーズダイブが抑えられる。
Aブレーキの掛け始めから停止するまで
ブレーキを掛け始めた瞬間から完全に停止するまでの間、ブレーキペダルの踏み込み加減で荷重移動をコントロールすることができるのである。
逆を返せばこの中間のブレーキ操作で荷重が前に行ったり後ろに戻ったりするため、車体の動きを安定させるためにブレーキの掛かり具合を一定にすることが重要である。
これは急ブレーキを掛けたとき、そっとやさしいブレーキをかけるとき、両方の場合で一定のブレーキの掛かり具合でブレーキを掛けられるようになるまで練習すること。
これをマスターできると車の動きが安定するため、同乗者が快適に安心してドライブを愉しむことができるので、これはマスター必須のブレーキングテクニックである。
B停止する瞬間
車が減速しながら進んでいる状態から速度0の停止する瞬間、荷重が前から後ろに移動する。
この前から後ろへの荷重移動をブレーキペダルの踏み加減で和らげる。
ブレーキは強く踏めば一気に荷重が前に移動し、弱く踏めばちょっぴり荷重が前に移動する。
この特性を利用すると、停止する瞬間は前から後ろへの荷重移動を弱めれば良いので、ブレーキを弱く調整する。そうすることで前に移動している荷重も小さくなるのである。
そこで、停止する瞬間になったらブレーキを弱める。弱め方も一気に弱めるのではなく、滑らかに無段階に弱めると、止まった瞬間の前から後ろへの荷重移動を0にすることできる。
このブレーキをマスターすると同乗者が停止する度に頭や体が前後に揺られなくなり、疲れにくく快適に過ごせる。
モテるために是非身に付けるべきドライビングテクニックなのは間違いない。(笑)
ローマは一日にして成らず
出典:テルマエ・ロマエU
あとはひたすら練習あるのみ
「アクセル」、「ブレーキ」、「ハンドル」で荷重移動を自由にコントロールできることを理解したあなたが今後取るべき行動はただひとつ。
ひたすら練習し、荷重移動の感覚を身に付けるだけである。