空気抵抗と密接な関りがある「境界層剥離」、その原理とメカニズムに迫る!

愛車ワゴンR:空力チューンで実燃費30km/Lを超えろ!

 

空力チューンの基本的な考え方

愛車ワゴンRは毎日の高速通勤の中で空力性能を磨き上げてきた「実験車両」である。

 

今まで実燃費30km/Lを超えるために様々な空力チューンを試してきたが、ただ闇雲に行ってきたのではない。

 

基本的な考え方があり、私が行ってきた空力チューンの数々はその考え方に沿っている。

 

そこで今回は、空気抵抗と密接な関わりがある「境界層剥離」について、その原理とメカニズムに迫ってみようと思う。

 

サルでもわかる「空力」講座

 

 

 

境界層とは?

出典:クレイドル

 

車体表面を流れる空気の流速には速度分布がある

いきなり「境界層剥離」と口にしても意味不明だと思うので、簡単な境界層の説明を先にすることにする。

 

まずは境界層のイメージを簡単に理解してもらいたい。

 

それを表したのが上の図である。空気は→方向に流れており、→の長さがそのままその地点の流速を示している。

 

これをみると車体表面に近いほど速度が低く、車体表面では速度が0になっている。

 

それに対して車体表面から遠ざかるほどに流速は高い状態にあることが図より見て取れる。

 

この車体表面からかなり遠ざかった部分の流速より、速度が落ちている領域を「境界層」と呼ぶ。

 

またこの境界層は右に行くほど大きくなっていることがわかる。

 

これは空気の粘性抵抗によるものである。

 

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境界層剥離によって「逆流」が起きる

出典:National Committee for Fluid Mechanics  Films

 

粘性抵抗により流速がどんどん落ちると何が起きる?

信じられないかもしれないが、粘性抵抗によって車体表面付近の空気(境界層)の流速が落ちていくと、あるところで「逆流」が起きる。

 

逆流とは→方向に流れていた空気が←方向に流れてしまうことを意味する。

 

この逆流は流速が0である車体表面から発生する。

 

なぜ逆流が起きるのかというと、元々の→方向に流れていた空気のエネルギーが←の逆流方向のエネルギーに負けてしまうからである。

 

これは元々の空気の流れる断面積が小→大に流れているために起こる。

 

これは「拡大流れ」といって、断面積が小→大の流れは圧力が低い方から高い方に流れる向きである。

 

一般的に圧力は高い方から低い方へ流れるのが普通であり、台風は高気圧から低気圧に向かって突風が吹くのはご存知であろう。

 

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つまり逆流するのは至極当然のことなのである。

 

そうして逆流を許してしまうとそこから境界層が剥がれるようにして大きく流れが変わり、剥離した部分では大きな渦が発生してしまう。

 

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境界層剥離の対策としてはゴルフボールが有名

出典:ゴルフボール

 

ゴルフボールの凸凹には意味がある

あなたはなぜゴルフボールが凸凹しているか考えたことがあるだろうか?

 

ゴルフボールの凸凹はゴルフボールをより遠くに飛ばすための工夫なのである。

 

「え?ゴルフボールは表面をツルツルにした方がより飛距離が出るんじゃないの?」と思う人もいるかもしれない。

 

だが違うのだ。
ゴルフボールの凸凹は空力の考え方を取り入れ、空力チューンされた商品なのである。

 

なぜゴルフボールの凸凹があると飛距離がアップするのか

出典:クレイドル

 

ゴルフボールの凸凹のことをディンプルと呼ぶが、このディンプルは「境界層剥離」を制御するために設けられている。

 

簡単に言うと、ディンプルを設けることによってゴルフボール表面を流れる空気(境界層)の剥離を後ろにずらすことができるのである。

 

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層流から乱流に変える

出典:キーエンス

 

ゴルフボールのディンプルは層流を乱流へ変えるツール

層流と乱流のイメージを「川」で説明すると、層流は河口付近の流れが一様で緩やかな流れであり、乱流は山奥の渓流に代表される激しい流れである。

 

一見すると層流の方が綺麗に水が流れていて良いと思われるかもしれないが、実際はそうではない。

 

車やゴルフボールに関しては乱流の方が良いのである。

 

なぜ乱流にすべきなのか

層流の場合、流体は車体表面に近くなるほど流速が落ちるのが一般的である。

 

それに対して乱流は空気の流れる方向が一様でなく、入り混じっているため車体表面を流れる空気の流速は全体的にほぼ同じなのである。

 

これがめちゃめちゃ重要で、車体表面を流れる空気の流速が落ちなければエネルギーを高い状態に保てるため、逆流しようとする動きを殺すことができる。

 

つまり、乱流にすることで境界層剥離を防げるということである。

 

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ボルテックスジェネレーターで積極的に乱流に変えさせる

境界層剥離によって生じた大きな渦は、かなりの空気抵抗になる。

 

空気抵抗の分類としては圧力抗力になるが、ボルテックスジェネレーターによって積極的に乱流にシフトさせることで境界層剥離を防ぐことが可能になる。

 

その結果として空気抵抗を大幅に軽減することができるため、スピードが出しやすくなり、燃費も確実に伸びる。

 

実際に私のワゴンRには50個近いボルテックスジェネレーターを装着しているが効果は非常に高く、高速道路での燃費も大きく向上している。

 

またS2000にもワゴンRで得られたノウハウを応用して、空気抵抗の軽減とダウンフォースの獲得にボルテックスジェネレーターを活用している。

 

こちらも非常に効果的であることは言うまでもない。

 

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