速く走るための空力と燃費を良くするための空力は違うというお話
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あなたはレーシングカーとエコカーの空力の違いについて考えたことがあるだろうか?
「レーシングカーやF1はなんだか派手なウイングやスポイラーが付いてて、プリウスのようなエコカーはなんとなく丸っこい形をしていて空気抵抗が少なそう。」
などと、なんとなく両者の違いをイメージすることができると思う。
この違いを明確にイメージすることができれば、あなたが求める空力性能は格段に手に入れやすくなる。
ルールの応用の仕方が違うだけ
実際、「速く走るための空力」と「燃費を良くするための空力」は違うのだが、どちらも元々は流体力学や航空力学をベースにしており、根本は同じである。
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では何が違うのか?
「速く走るための空力」と「燃費を良くするための空力」はルールの応用の仕方が違うだけである。
どちらも流体力学や航空力学を基本のルールとしており、必要とされる性能に合わせてパラメーターをチューニングしているだけである。
そこで今回は、「速く走るための空力」と「燃費を良くするための空力」の違いについて説明していきたいと思う。
速く走るための空力と燃費を良くするための空力の決定的な違いとは?
出典:J's Racing 魔王S2000
求めているものが異なる
簡単に言うと、速く走るための空力はダウンフォースを稼ぐことを優先しており、燃費を良くするための空力は空気抵抗を減らすことを目的としている。
これが両者の決定的な違いである。このように求める性能に合わせてチューニングすることは空力だけでなく、スポーツの世界でも当たり前のことである。
大相撲とサッカーでは求められるものが違うのと一緒
出典:大相撲の横綱「白鵬」とサッカーの「大久保」選手
2人とも大相撲、サッカーの世界では名実ともに一流のアスリートである。
だが両者の体格はまるで違うことがわかる。
大相撲の横綱「白鵬」は一言で言うと立派な体格をしている。
これは相撲に求められる体格が、相手に当たり負けしないことや相手を押し出す力を必要としているからである。
その逆に、サッカーの「大久保」選手は引き締まった体格をしている。
これはサッカーが基本的に機敏に走り回ることを要求するスポーツだからである。
そのため、白鵬がJリーグでサッカーをしても持ち前の立派な体格はアドバンテージにはならないし、大久保選手が大相撲に出ても引き締まった体格では勝つことは難しい。
何が言いたいのかと言うと、求められる性能に合わせて特化させていくことがその世界で成功するための「条件」であるということである。
つまり、速く走るためには速く走るための空力チューンを、燃費を良くするためには燃費を良くするための空力チューンを行わなければ良い結果は付いてこない。
求める世界に合った身体作り、車作りをしなければならないことが理解していただけたと思う。
速く走るために「ダウンフォースを稼ぐ」空力チューンが必要
出典:F1
「いかにアクセルを踏めるようにするか」がキモ
速さを求めると自ずとスピードレンジが高くなるのは理解できると思う。
いかに短い時間で決められたコースを走れるかが速さの指標である。
簡単に言うと、スピードを出せば出すほどラップタイムを短縮できるようになる。
要は速く走るための空力チューンはハイスピード走行を可能にするためのものであり、いかにアクセルを踏めるようにするかが重要なのである。
ダウンフォースを稼がなければ速く走れない
チューニングカーでもレーシングカーでもF1で共通なことは、タイヤと地面の摩擦力で走っているということである。
つまり速く走るためにはタイヤと地面の摩擦力を上げることが至上命題なワケである。
そのため空力に求められることは「ダウンフォースを稼ぐ」ことである。
レーシングカーやF1が派手なウイングやスポイラーなどのエアロパーツを装着しているのはそのためであり、空気抵抗が増えることよりもダウンフォースを稼ぐことに特化した空力チューンがなされているということである。
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燃費を良くするために「空気抵抗を減らす」空力チューンが必要
出典:ホンダ インサイト
「いかにアクセルを踏まずに進めるか」がキモ
逆にエコカーでは、少ないエネルギーでどれだけ距離を伸ばせるかがエコカーの性能である。
つまり、空気抵抗を少なくすることが燃費を良くするために最も重要なことなのである。
そのため、速く走るために最も重要であった「ダウンフォースを稼ぐ」ことは燃費を良くするための空力チューンでは重要ではなく、「空気抵抗を減らす」ことが至上命題なのである。
ワゴンRとS2000で空力チューンを日々研究している
ワゴンRでは燃費を良くするための空力チューンを実車で研究
私のワゴンRに施した「燃費を良くするため」の空力チューン
ワゴンRは私が通勤に使用している車であり、毎日高速道路を往復している。
そのため、ワゴンRでは燃費を良くするための空力チューンを徹底的に行っている。
そのためダウンフォースを稼ぐことはほとんど考えておらず、とにかく空気抵抗を減らすことだけを考えて空力チューンを行ってきた。
ワゴンRの空力チューンの実施例や考え方は以下にまとめてあるので参照していただきたい。
S2000では速く走るための空力チューンを実車で研究
愛車S2000で速く走るための空力チューンを研究している
S2000は休日しか乗らない趣味車であり、求められる性能は「燃費」ではない。
走らせたときの気持ちよさであったり、ワゴンRでは感じることのできない「速さ」や「フィーリング」である。
そのため、S2000で行っている空力チューンは「燃費を良くするため」の空力チューンではなく、「速く走るための」空力チューンである。
速く走るための空力チューンの実施例や考え方は以下にまとめてあるので参照して欲しい。
両車とも異なる思想で空力チューンに取り組んでいるが、どちらを弄るにしてもめちゃめちゃ面白くて愉しいということは確かである。
あなたも空力チューンにトライしてみてはいかがだろうか?