安易に車高調でローダウンすると、異音や乗り心地、抜け、ランニングコストに悩まされるというお話
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車高を落とすなら「車高調」
スポーツカーに限らず、車高を落とすことでかっこよくなる車は多い。
そこで自慢の愛車をローダウンすることで今よりかっこよくしようと考えるユーザーは多いはずである。
このようなユーザーは愛車を「チューニングする」というよりか「カスタムする」というイメージの人が多いのではないだろうか?
わかりやすくいうと、私のように走り命の車好きは「走り」のために車高調に交換するものだが、車高調は私のような走り命ではない、「見た目のかっこよさ」を重視している人も多いだろう。
そこで今回は、「見た目のかっこよさ」を目指して車高調を購入しようとしている人のために、「車高調」を入れるとその後どうなるか、私の経験から話してみようと思う。
「車高調」とは?
出典:車高調
車高調は車高を調整できるサスペンション
車高調は車高を自由に調整できるサスペンションのことで、「全長式」と「ネジ式」の2つがあるが、「全長式」を選んでおけば問題ない。
細かいことはここでは書かないが、全長式の方がストロークを確保できるため、段差等で底付きしにくいのが理由である。
見た目重視で車高調を選ぶ場合でも、走り重視で車高調を選ぶ場合でも「全長式」を選ぶのをオススメする。
基本的に車高調は「ローダウン」するために購入することがほとんどであり、車高を落とすときに底付きしないように有効なストローク量を確保できる全長式を選ぶのがマストである。
では、車高調を入れるとどうなるのか説明していこう。
車高調を入れる「メリット」とは?
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車高が下がって見た目がかっこよくなる
愛車の見た目をかっこよくしたい人にとって、車高調の一番のメリットは「自由に車高を変えられること」である。
もちろん、車種や構造によっていくらでもローダウンさせたり車高を落としたりできるわけではないが、自分の追い求める車高にカスタムすることができるのが一番のメリットである。
車高調は車高を上げる方向は基本的に調整幅が少ないのだが、ローダウンは調整幅が大きい。
上の画像のように控えめに車高を落とすこともできるし、タイヤが被さるくらいまで下げることも可能であろう。
カスタムにおいて、自分好みに変更できることが重要であり、車高調は重宝するだろう。
バネレートが高くなることでロールが減る
車高調を入れることで思わぬメリットを受けることがある。
それは「ふらつきが減る」ことである。
サスペンションは純正でも車高調でもバネとダンパーで構成されており、車高調はバネが純正よりも「固い」ものがほとんどである。
例えばS2000の場合、純正のサスペンションは5kg/mmというバネレートで、5kgの力が加わると1mmバネが沈み込むというものである。
それに対して車高調は2〜4倍程度バネレートが高くなるのが一般的である。
実際S2000の車高調はバネレートが10〜20kg/mmくらいのものがほとんどである。
車高が落ちるとロールセンターが変化してロールしやすくなるが、実際はその効果以上にバネレートが高くなる効果が強く働くため、ロールは減る方向になる。
そのため、キビキビしたハンドリングになりやすいのも人によってはメリットかもしれない。
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車高調を入れるデメリット:乗り心地が悪くなる
出典:クラウン
バネレートが高いからゴツゴツした乗り心地になりやすい
車高調を入れると通常バネレートが高くなるため、路面の凸凹を拾ってしまい、乗り心地は「ゴツゴツ」としたものになりやすい。
大多数の人は乗り心地が「ゴツゴツ」することを「乗り心地が悪くなった」と判断するようである。
昔のトヨタ車的な路面の凸凹が伝わらないフワフワした乗り心地=乗り心地が良いと考えている人にとっては、車高調にすると間違いなく乗り心地は悪化するので注意が必要である。
逆に欧州車的な「固め」のしっかりとした乗り心地=乗り心地が良いと考えている人にとっては、車高調にすることで乗り心地は良くなる可能性がある。
車高調は安かろう悪かろうが顕著な部品であるため、予算の許す限りなるべく高価なものが良いだろう。
ダンパーの出来やバネの出来が、安いだけの車高調とは月とスッポンであり、高価な車高調は固いバネを使用していても純正よりも乗り心地が良いなんてことはザラにあるからである。
「車高が下げられれば良い」と割り切れる人は安価な車高調の方が「コスパ」が良いが、乗り心地も捨てられないという人は高価な車高調を選んでおく方が幸せになれるのは間違いない。
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車高調を入れるデメリット:寿命が短いため、頻繁にオーバーホールが必要
出典:車高調OH
純正に比べて車高調は抜けやすく、へたりやすい
純正のサスペンションは「純正」であるため、耐久性は抜群である。
メーカーが作るものであるため、そう簡単に抜けたりへたったりしてもらってはクレームが出るからである。
それに対して車高調は「社外品」であり、耐久性に関しては純正以下のものがほとんどである。
チューニングやカスタムをするうえで忘れてはいけないことは、「トレードオフの関係」にあるということである。
車高調は一般的に純正のサスペンションに比べて高性能である。
それゆえ寿命は短くなってしまったり、壊れやすい。
「壊れにくい=ノーメンテでもOK」と考えるならば、高性能なスーパーカーは日々のメンテナンスが重要で、それを怠ればすぐにへそを曲げて調子が悪くなったり、最悪壊れてしまったりする。
車高調も同じで、純正のサスペンションと同じように使用していても、寿命は速く訪れ、
大体3万kmくらい走ると「抜け」や「オイル漏れ」、「固着」などが発生して、「オーバーホール」という名のメンテナンスをしなくてはならなくなる。
実際私はS15シルビアに乗っている際、車高調を入れていたが、1年に2万kmくらい走っていたため2年くらいでOHしていた。
OHの度にお金が掛かり、学生時代の私には払えなかった。(4本で10万円くらいだった気がする)
つまり、車高調の性能を維持するのに余計なお金が掛かるということは、結構なデメリットだと私は思う。
車高調を入れるデメリット:「ガタガタ」「ギシギシ」「コトコト」異音がうるさい
出典:車高調
車内の静粛性は犠牲になる
車高調を入れるとどうしても「異音」が発生してしまうのは、どうしようもないデメリットである。
ちょっとした段差を走っただけで、「ガタガタ」「ギシギシ」「コトコト」異音がうるさいのである。
新品の内は「ガタガタ」「ギシギシ」「コトコト」といった異音は小さいので気にならないが、使用していくにつれ異音は大きくなっていき、
OHが近づいていくと「この車、壊れてるんじゃないの?」と同乗者に真顔で心配されるくらいである。
実際私は今まで2回車高調をOHに出したことがあるが、「ガタガタ」「ギシギシ」「コトコト」うるさかった異音は、OHから帰ってくると静かになっていた。
そういう意味で、純正のサスペンションから車高調に変えることで、車内の静粛性は諦めた方が良いだろう。
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車高調を入れるときは覚悟が必要
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車高調のデメリットを受け入れられない場合はやめた方がいい
今まで書いてきたのでわかると思うが、見た目をかっこよくするためだけに車高調を入れるのには「反対」である。
見た目が良くなることに対する代償があまりにも大きいと私は思うのである。
もちろんこれが「走り重視」の場合は反対しない。
実際以前乗っていたシルビアでも今乗っているS2000でも車高調に交換しているし、デメリットを上回るメリットがあると思っているからこそ、高いお金を払ってやっている。
だが、車高を落とすためだけに高いお金を払って、たくさんの犠牲を払う必要がほんとにあるだろうか?
私はやめた方がいいのではないかと素直に思う。
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この方法を取ればデメリット無しにローダウンすることができる。
気になる人は是非とも見ていただきたい。
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