プラダンでフロントアンダーパネルを自作し、床下をフラットボトム化せよ!
車体床下は凹凸だらけ
空力バカの見果てぬ夢
F1やレーシングカーの空力において、床下は重要な空力チューンの場所である。
だがしかし、市販車ではコストや整備の問題もあり、床下は凹凸だらけになってしまっている。
特にコストカットの影響が大きい軽自動車は、床下の空力はないがしろにされがちである。
実際にワゴンRの床下をフロントから眺めてみると、上の画像のようにエンジンやフレームで凸凹していることがわかる。
そこで今回は、軽自動車ワゴンRの床下をアンダーパネルによって「フルフラット化」し、床下を整流することでどれくらい燃費向上できるのか試してみることにする。
今までずっと避けてきた「床下」の空力チューンに着手!
フロントのダウンフォースのカギを握る「フロントアンダーパネル」の効果を最大限に発揮させる方法
夢のフラットボトム化で実燃費30km/Lオーバーを目指す
今まで床下の空力チューンをずっとやりたいとは思ってきたが、今までやらずに来てしまった。
なぜやらなかったのかと言うと、自分のスキル不足と安全性をクリアできるかどうか心配で、自信がなかったからである。
だがしかし、本気でワゴンRの実燃費30km/Lオーバーを達成するためには、床下の空力チューンから逃げることはできない。
逆に言えば床下以外の箇所の空力チューンはほぼやり尽くした感があり、27.0km/Lから3km/Lを伸ばすほどの空力チューンは現状思い付かない。
ここは空力バカとして、床下のフルフラット化のロマンを追求してみようではないか。
フロントアンダーパネル装着で穴開きリアバンパーに空気を送れ!
空力チューン第4弾!リアバンパー穴開け加工でパラシュート効果をやっつけろ!
アンダーパネルでがら空きのフロント床下を整流するのが狙い
私のワゴンRは自作リアスパッツが特徴的に見えることもあり、よく自作リアスパッツ装着でどれくらい燃費向上するのか興味本位で聞かれることも多い。
空力チューン第9弾!リアタイヤを覆え!「リアスパッツ」の効果とは?
だが、ワゴンRの空力チューンの要は「穴開きリアバンパー」なのである。
車体後部の負圧領域にリアバンパーの穴から空気を送り込むことで、空気抵抗を低減している。
つまり、穴開きリアバンパーに空気を大量に送り込むことができれば、それだけ空気抵抗を減らせる可能性がある。
フロントアンダーパネルを装着することで、フロント床下の空気の流れをスムーズにし、穴開きリアバンパーに空気を送り込むことが狙いである。
プラダンでフロントアンダーパネルを自作せよ!
完全ワンオフのフロントアンダーパネル
安くて加工が簡単なプラダンで作ってみよう!
今回、フロントアンダーパネルの素材として選択したのは「プラダン」である。
近くのホームセンターで1820×910サイズで厚さは4mmのものを購入した。
2mm程度のものもあったが、ふにゃふにゃしていたため、選択しなかった。
色は黒が無難だが、アルミテープで裏表両面を覆いつくすつもりだったため、透明を選択した。
透明ならば固定方法を考える際に、車体が見えて作業しやすいということも考慮した。
タイヤハウスを避け、フロントタイヤ直後までフルフラット化させたい!
ワゴンRのフロントをリフトアップさせた状態で、どのようにアンダーパネルを設計しようか考えてみた。
やりたいことは「フルフラット化」である。
だがしかし、フロントにはエンジンやマフラーなどがあり、凹凸が激しい。
また、フロントタイヤの前にも少しばかりスペースがあったが、フロントストレーキを装着していることを考慮し、今回はタイヤハウスを避けることにした。
問題はどこからどこまでをアンダーパネルで覆うか?ということである。
空力チューン第2弾!エコカー必須装備の「フロントストレーキ」装着で超えろ30km/L!
今後、センター、リアとアンダーパネルで床下を覆うことを考えると、フロントとセンターの繋がりを考えなくてはならない。
FF車のため、センター部はマフラーが通っているだけで1820×910サイズのパネルがそのまま装着できる雰囲気であった。
後々のセンター部との繋がりを考えて、フロントアンダーパネルはフロントメンバーが終わる辺りまでにすることにした。
位置的にはフロントタイヤの後ろの、フロントジャッキポイント直前くらいまでの範囲をフロントアンダーパネルとした。
マフラーを避け、アルミテープで強度UP&遮熱せよ
マフラーは高温の排気ガスが通過するため、非常に高温になる場所である。
今回のアンダーパネルはプラダンで作製するため、マフラーに接触している状態では熱で溶けたり、最悪は車両火災の原因になってしまう。
非常にハイリスクのため、仮固定した状態でマフラーが当たりそうな箇所をカッターでくり抜くことにした。
また、マフラーやエンジンの熱害を避けるため、アルミテープでプラダンを全面的に覆い、プラダンの強度UPも同時に行った。
実際使用したアルミテープの量は、幅5cmのものを30m程度使用した。
まさか25m巻きの新品アルミテープを使い終わるなんてビックリしたが、縦横1m近くあるプラダンを覆いつくした結果、30m近くも使ってしまった。
おかげでプラダンとは思えないくらい補強することができた。
アルミテープチューン失敗例!実際に燃費悪化してしまった場所とは?
固定方法はタイラップとタッピングビスで挑戦!
フレームに直接タイラップ止めで固定
フルフラット化のロマンと現実の狭間で迷いまくり!
フロントアンダーパネルでフルフラット化する範囲を決定し、考えなければならないのは「固定方法」である。
実は固定方法を考えるのが一番難しい。
適当に取り付けをして、万が一脱落してしまったら大惨事である。
フロントはバンパーにタッピングビスで6箇所固定するとして、問題はサイドと後端部分の固定である。
当初はフロントメンバーに開いている純正穴にプラスチックのクリップでリベット留めをしようと考えていた。
だが、実際に下から覗いてみてもちょうどいいところに穴がなく、凹凸の凹部分にあったため、クリップで固定する方法は断念した。
ジャッキアップせずとも手軽に脱着できたほうが後々楽チンなので、手が届きやすい範囲に固定する方が望ましい。
フルフラット化のロマンを重視した結果、タイラップとタッピングビスで固定することに決定
そんなことを考えているうちに「タイラップ」で固定する方法にたどり着いた。
タイラップは結束バンドとも呼ばれ、プラスチックのバンドで縛るだけで簡単に固定することができる便利グッズである。
ドリフト車両ではバンパーの脱着を簡単にするため、タイラップで固定していることも多い。
結果的に、フロントバンパーに伸びるフレーム的なものと、フロントロアアーム取り付け位置に開いていた穴にくぐらせるようにしてタイラップで固定してみた。
簡易的だが、タッピングビスとタイラップによる固定で、微動だにしないくらい強固に固定することができた。
本来はアルミステーなどをフレームに固定し、アンダーパネルを取り付けした方が確実であろう。
今回は、私のスキル的にもタッピングビスとタイラップ留めが限界であった。
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構想から開発まで土日合わせて計8時間!自分の弱さと戦い続けた2日間だった
空力チューン第9弾!リアタイヤを覆え!「リアスパッツ」の効果とは?
肉体の限界、気力の限界と戦い続けた2日間だった
本当に辛かった。
何が辛いかって土日合わせて8時間も地面に寝転んだ状態で作業していたからである。
日ごろから筋トレで体を鍛えているが、さすがにノンストップで2日間も作業し続けるのは辛かった。
ガレージとリフトが欲しい!とこのときほど思ったことはないくらいである。
ガレージで車弄りを満喫したい人必見!用途に合った「リフト」の選び方とは?
フルフラット化を諦めようかと思った瞬間は何度かあった。
だが、空力バカとして床下をフルフラット化した状態でワゴンRで実燃費30km/Lオーバーを達成する瞬間を味わいたい。
ここで諦めるような生き様はごめんである。
そう自分の心を奮い立たせ、何とかフルフラット化されたフロントアンダーパネル装着まで漕ぎつけた。
その瞬間、自然と両手でガッツポーズしている自分がいたのである。
本当に嬉しかった。諦めずにやり遂げたらこんなに達成感を味わえるのかと感動した。
空力バカの夢とロマンを乗せ、いざ走行テストへ!
そんな超大作も走行テストで問題があれば、使用することはできない。
懸念点は2つあり、1つは風で脱落しないか?もう1つは熱で溶けたり燃えたりしないか?である。
この緊張感は空力チューン第9弾!リアタイヤを覆え!「リアスパッツ」の効果とは?で初めて自作リアスパッツをテストした瞬間と同じであった。
「もし、ダメだったらどうしよう」そんな気持ちにもなったが、もうここまできたらやるしかない。
意を決してワゴンRを走らせてみた。
家の前のほとんど車通りのない長い直線的な農道でスピードを出してみたが、バタつきも一切なく、極めてスムーズであった。
懸念していた熱害も街乗りで近所を走らせてみたが問題なく、タッピングビスやタイラップの固定の緩みも問題なかった。
「よし、これで燃費アタックできるぞ!」と心がワクワクした瞬間であった。
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フロントアンダーパネル装着で「5%」燃費向上!
フロントアンダーパネルを装着することで、どこまで実燃費30km/Lオーバーの目標に近づけるか、愉しみで仕方なかった。
いざいつもの通勤ルートで高速に乗り、フロントアンダーパネルによるフルフラット化の効果を確かめた。
なんだか瞬間燃費計の数値が良い。
実はリアタイヤが路上の釘にやられてしまい、リアタイヤ2輪はスタッドレスの状態であり、夏タイヤに比べて転がり抵抗が大きい。
リアタイヤ2本分で大体2%くらい悪化する計算だが、それでもスムーズに前に進むのである。
夏タイヤからスタッドレスに履き替えると、どれくらい燃費が下がるのか
街乗りではほとんど体感できなかったが、高速を80km/h巡航すると面白いくらいスムーズに走れて気持ちよかった。
その結果、フロントアンダーパネル装着によって27.0km/L→27.9km/Lまで燃費が向上した。
もしパンクせず、リアタイヤ2本とも夏タイヤのままだったらさらに0.5km/Lほど伸びて、28.4km/Lを叩き出していただろう。
割合でいえばフロントアンダーパネル装着によって「5%」燃費向上したことになる。
大成功である。
フロントアンダーパネル装着によって「暖気時間が短縮」された!
フロントアンダーパネル装着によって意外な効果が発揮された。
それはエンジンの暖気時間の短縮である。
これはフロントアンダーパネル装着によって、エンジンが覆われることで走行風が当たらなくなり、熱が逃げなくなった何よりの証拠である。
真夏の猛暑が心配だが、冬場は暖機時間が短縮されることによって、燃費向上が期待できる。
なぜ冬になると燃費が悪くなるのか
実燃費30km/Lオーバーの達成まであと1.5km/L。
センターとリアのアンダーパネル装着による「フルフラット化」によって、空力バカのロマンを追求したい。
「釣りロマンを求めて」ならぬ「フルフラット化のロマンを求めて」である。
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