純正リアウイングって効果あるの?空力的な効果と狙いを検証してみた!
出典:スカイラインGT-R(R32)
なぜスポーツカーは純正リアウイング・スポイラーが付いているのか?
平成時代のスポーツカーは大抵純正でリアウイングやリアスポイラーが装着されている。
スポーツカーらしさを演出するための「デザイン」なのか、はたまた高い空力効果を示す「エアロパーツ」なのか。
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あなたは気になったことはないだろうか。
「純正のリアウイングやリアスポイラーって効果あるの?」と。
そこで今回は、純正のリアウイングやリアスポイラーがどのような意図を持って設計されているのか、説明していこうと思う。
スポーツカーは純正リアウイングやリアスポイラーの装着率が高い
S15シルビアの純正リアウイング
元愛車S15シルビアにも純正でリアウイングが装着されていた
純正でリアウイングやリアスポイラーが装着されている車は基本的に「スポーツカー」である。
私がS2000に乗り換える前に乗っていたS15シルビアも、純正でリアウイングが装着されていた。
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リアウイングと言えばレーシングカーやチューニングカーでお馴染みの「GTウイング」がある。
GTウイングはリアのダウンフォースを発生させることで、高速コーナーでのリアの安定性を向上させるエアロパーツである。
GTウイングが装着されていることで、高速域でのスタビリティが向上し、安心してアクセルを踏んでいけるというわけである。
GTウイング無しでの高速コーナーはリアの不安定感が強く、少しのアクセル操作のミスで一気にスピン→クラッシュする。
実際に私はGTウイング無しのS2000でサーキット走行をし、高速コーナーでスピン→クラッシュしてしまった経験がある。
それくらいGTウイングの効果は大きいということである。
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ダウンフォースによるリアのスタビリティ向上という明確な理由があるGTウイングに対して、純正リアウイングは何を狙って付けられているのだろうか?
純正リアウイングの狙いは「整流」にあり!
出典:三菱ランサーエボリューション
純正リアウイングは「整流」が一番の狙い
基本的に、市販されている車のほとんどは車体後部は四角く角ばっている形状のものがほとんどである。
そのため、車体に沿って流れてきた空気はトランクを過ぎると車体から剥離してしまう。
車体から空気が剥離してしまうことが問題なのである。
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車体から空気が剥離するとどうなるのか
車体から空気が剥離してしまうと、その箇所は空気がボディに沿ってきれいに流れてくれなくなってしまう。
そうなると、空気が剥離してしまった部分は空気が少ない状態になってしまう。
空気が剥離してしまった部分は空気が渦を巻き、負圧を発生してしまう。
この負圧が厄介なのである。
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負圧の代表選手は「台風」
負圧の例で身近なものは「台風」である。
台風は通常のお天気のときと比べて気圧がかなり低い。気圧が低いということは空気が少ないということであり、台風は負圧の塊であるといえる。
台風の特徴と言われて想像するのは「強風」ではないだろうか?
基本的に空気は多いところから少ないところへ流れていく。
このとき、多いところと少ないところの差が激しいほど強烈に空気の移動が起こる。
つまり、曇りや雨で天気が悪いときに比べて台風のときの方が強風が吹くのである。
これは台風が強烈な負圧を発生しているからであり、空気は台風の中心めがけて勢いよく吹き荒れる。
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車体後方の負圧が悪さをする
出典:ホンダ技研
車体後方に発生する「負圧」を制御せよ!
市販されている車のほとんどは、車体後方に台風が発生しているようなものである。
車体後方にある台風は周囲の空気を引っ張り込む。
その際に車体自体も引っ張ってしまうのだ。
車体後方に発生した「負圧」は車体を後ろに引っ張る力として作用する。
これが何を意味しているかというと、車体後方に発生した「負圧」が大きくなればなるほど、車体を後ろに引っ張る力が強くなるということである。
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車体後方の「負圧」はスピードが上がれば上がるほど、大きな勢力となって行く手を阻む。
スポーツカーのようにスピードレンジが高い車はこの「負圧」を何とかしなければならない。
そこで自動車メーカーは、車体後方(トランクあたり)にリアウイングを装着して厄介な「負圧」を低減しようとした、というわけである。
なぜスピードが上がれば上がるほど「ダウンフォース」は発生するのか?
純正リアウイングが負圧を減らす仕組み
出典:インプレッサSTI
ボディー形状からくる空力的な弱点を解消する狙い
市販されている車は、スパッと切り落とされたようなリア形状をしていることが多い。
空気は急激な形状変化には追従することができないという特徴がある。
理想は流線形のように、リアになるにつれ先がすぼまっていくような形状が負圧が発生しにくく、空気抵抗も少ない。
空気の流れを流線形に近づければ良い
車内スペースや実用性の観点から、流線形のボディ形状にすることは現実的でない。
ならばどうするか。
「空気の流れを流線形に近づければ良いのである」
リアでスパッと切り落とされてしまったようなリア形状にリアウイングをプラスすることで、ぶった切れた空気の流れを車体後方まで伸ばすことができる。
それによって空気の流れは流線形に近づき、車体後方で発生していた「負圧」を減らすことができる。
流速を上げる必要がある
リアウイングによって流速の落ちた空気をもう一度加速させる必要がある。
リアウイングで流速を上げなければ整流効果による負圧低減は期待できない。
そのため、純正リアウイングはGTウイングと違ってウイング形状はシンプルな板状になっているものがほとんどである。
GTウイングと純正リアウイングは求めている効果が違うのである。
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純正リアウイング・リアスポイラーはれっきとした「エアロパーツ」
出典:スカイラインGT-R
純正で装着されているものには「必ず理由がある」
純正リアウイングはその平坦でシンプルな形状から、「あまり効果のないもの」と考えられがちである。
しかし、純正リアウイングがあることによって、車体後方の負圧を低減し、スムーズな高速走行を可能にするれっきとした「エアロパーツ」なのである。
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見た目がかっこいいからという理由で採用されていることももちろんあるが、純正リアウイングは機能パーツであることは間違いない。
もし可能であるなら純正リアウイングを装着した状態と外した状態を乗り比べてみて欲しい。
必ず純正リアウイングの効果を体感できるはずである。
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