「リアディフューザー」の効果はリアのダウンフォース獲得だけじゃない?知られざるリアディフューザーの効果とは?
出典:AMG
リアディフューザーの効果とは?
「リアディフューザー」の効果と聞いてあなたは何を思い浮かべるだろうか?
「リアディフューザーはリアのダウンフォースを稼ぐためのものでしょ?」
とあなたは思ったのではないだろうか?
もちろんリアディフューザーはリアのダウンフォースを獲得するためのものであるが、それだけではないのである。
そこで今回は、リアディフューザーの知られざる効果について考えてみることとする。
リアディフューザーの効果は主に2つ
出典:メルセデスベンツ SLS AMG GT3
CD値の低下とダウンフォース獲得
リアディフューザーの効果はCD値の低下とダウンフォース獲得の2つがメインである。
ダウンフォースの獲得はレースの世界ではよく知られていて、実際に上の画像のような過激なリアディフューザーが装着されているマシンがほとんどである。
最近は市販車でもリアバンパー下部が黒く塗り分けられた、リアディフューザーチックなデザインをよく目にする。
市販車では公道という様々な条件を考慮した設計になっているため、レーシングカーのように過激なリアディフューザーが装備されていることは少ない。
実際市販車に装備されているリアディフューザーはベンチュリー効果を得るためにアップスイープ形状をしている、ということはなく、
黒く塗り分けられたリアバンパー下部に申し訳程度にちょこんと「フィン」が付いているだけである。
出典:スバル XV
リアがフラットになることで得られるもの
出典:ワゴンRの車体下
市販車は車体下が凸凹している
市販車は車を購入するお客様の目につくような部分は徹底して綺麗にかっこよく見せようとする。
だがしかし、車体下はエンジンやマフラー、ミッション、デフなどがあり、高さはまちまちで凸凹した形状をしている。
上の画像はMH34S型ワゴンRの車体下の様子だが、車体下の状態はフラットとは程遠いことがよくわかる。
普通のドライバーは車体下がどうなっているかなんて全く興味がないだろうし、放熱の問題もあってフルフラットはなかなかハードルが高いのである。
だが、スーパーカーなどになってくると車体下はパネルで覆われてフルフラットに近くなる。
フロントのダウンフォースのカギを握る「フロントアンダーパネル」の効果を最大限に発揮させる方法
出典:FN2 シビックタイプR
スーパーカーとまではいかなくても最近のスポーツカーは車体下まで作り込んでいる車が多く、上の画像のFN2型シビックタイプRはかなりフラットに近い状態である。
このレベルまでフラットであると、スムーズに空気が車体下を流れるため、CD値も低くなり結果的に車体全体のダウンフォースが強力になるというメリットがある。
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出口がスムーズに流れれば、入り口・中間もメリットがある
出典:渋滞
高速道路の渋滞と同じ原理
あなたは高速道路を走っていて渋滞にはまったことがあるだろうか?
高速道路で渋滞にはまると身動きが取れず、ただ前車に合わせて前進するしかない状況になる。
空力でも同じことが言えるのである。
あなたが例えどんなに速い速度で高速をカッ飛んでいたとしても前が渋滞していれば同じ速度では走ることはできない。
それと同じで空気も入り口のフロントをアンダーパネルなどで以下にスムーズに空気を流しても、リアが渋滞気味では流速が落ちてしまうのである。
つまり、車体下に入ってきた空気は出口がスムーズに流れなければ、出口でふん詰まりになり、結局出口の流れ具合がその車の性能になってしまう。
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空気は「入れるよりも抜く方が大事」
多くの人は空気を入れることばかり躍起になるが、本当に考えなければならないのは抜くことである。
つまりアンダーパネルで言えば、フロントを先にチューニングするのではなく、まずは出口であるリアを何とかしなくてはならないのである。
逆に言えば、出口であるリアがスムーズに流れるようになることで、何もしなくてもフロントやセンターの流速は上がり、自動的にベルヌーイの定理によってダウンフォースが発生する。
空力で大事なのはフロントではなくリアなのである。終わり良ければ総て良しということである。
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リアディフューザーは走りの世界を変える
S2000にリアディフューザー投入
愛車S2000にリアディフューザー投入!
ということで実際に私もS2000にリアディフューザーを投入した。
選択したのはVOLTEXのリアディフューザーで、マフラーの中間タイコから後ろがすっぽりと覆われる巨大なリアディフューザーである。
またリアディフューザー後端はアップスイープ形状に跳ね上げられ、中間タイコ付近の最も低い部分にベンチュリー効果によって強烈なダウンフォースが発生するような設計になっている。
強烈なダウンフォースを受け止めるため、フレームやバンパーにガッチリと取り付けられており、微動だにしない。
車体が全体的に沈み込む感覚
走りだしてすぐに「車体が沈み込む感覚」を覚えた。
それもリアだけが沈み込むのではなく、フロントからリアにかけて車体全体が沈み込む感覚であった。
これほどまでに変化するとは思ってもいなかったので嬉しい誤算である。
その後、舞台を高速道路に移してみたがいつもの調子でカッ飛んでみても全く恐怖感がないのである。
これならいくらでも踏めると思わせるくらいの安定感というか安心感があった。
やはり出口の空力チューンは効果絶大であることを身をもって知ることができた。
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出典:軽トラ世界選手権2017
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なんていうかオープンカーにGTウイングは軽トラにGTウイングと同じくらいイケてないと思ってしまう。
申し訳ないが軽トラにGTウイングを付ける感性は私にはわからない。
だから私はGTウイングを付けることなくリアのダウンフォースを強化したいと思い、リアディフューザーを装着したわけである。
結果的にリアだけでなく、フロント・センターもダウンフォースが強化され一石三鳥の活躍を見せてくれた。
私のようにGTウイングは嫌!という方はリアディフューザーを試してみて欲しい。
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