タイプSリップ装着で走りの次元が変わる?S2000でド定番の純正空力チューンの効果とは?
リアディフューザー装着でアンダーステア方向に
フロントのダウンフォース獲得で、S2000を次元の高いコーナリングマシンにしたい
S2000は生産から20年という時が経ってなお、一線級のコーナリングマシンであることになんら異議はないだろう。
既にS2000は旧車の部類になってきているが、様々な規制に縛られた今の時代、S2000のように尖った車はもう2度と世に出ることはないだろう。
私はそんなS2000のオーナーであり、走りを愛してやまない車好きでもある。
また、空力チューンで実燃費30km/Lを超えろ!や速く走るための空力チューン大特集!などの記事をたくさん書いているくらい「空力」の面白さに心奪われている人間であり、
つい先日「リアディフューザー」の効果はリアのダウンフォース獲得だけじゃない?知られざるリアディフューザーの効果とは?にてS2000にVOLTEX製リアディフューザーを導入したばかりである。
リアディフューザーの効果は凄まじく、単に街中を真っ直ぐ走っているだけでも明らかにダウンフォースが増していることがわかったほどである。
実際、峠に持ち込みコーナリングを試してみると、全体的にダウンフォースが増しており、特にリアの安定感がグッと上がり、気持ちアンダーステアに感じるほどであった。
ボルテックスジェネレーターでフロントのダウンフォースを稼いでみたものの…
そこで、私はこう思った。
「愛車S2000を今よりもっと速くて安定したコーナリングマシンにしたい!」
その願いを叶えるためには、「フロントのダウンフォース不足」をなんとかしなくてはならないと考えた。
空力チューンで実燃費30km/Lを超えろ!で培った「ボルテックスジェネレーター」のノウハウを生かし、
ボルテックスジェネレーターでフロントダウンフォースを稼げるか?フロント車体下のアンダーパネルで実験せよ!に取り組んだ。
これは単に、フロントバンパー下にボルテックスジェネレーターを貼りつけただけであるが、ボルテックスジェネレーターの効果により、フロントのダウンフォース向上に効果があった。
しかし、それでは不十分だと私は感じていたのである。
S2000をもっと愉しむチューニング
私がフロントのダウンフォース向上に「タイプSリップ」を選んだ理由
出典:S2000タイプS
社外バンパーにするか、純正後期バンパー+リップスポイラーか?
フロントのダウンフォース向上を達成するための手段は主に2つあった。それは、
@社外バンパーに交換すること
A純正後期バンパーにリップスポイラーを装着すること
である。だがしかし、@の社外バンパーに交換することには「ためらい」があった。
なぜなら、社外バンパーに交換するとどうしても「チューニングカー感」が増してしまうからである。
私はS2000をいかにもなチューニングカーにしてしまうことに抵抗があった。
S2000のリップスポイラーのオススメはタイプS、無限、それともモデューロ?という記事を書いているように、私は純正の後期バンパーのデザインを活かしたかったのである。
私がわざわざプレミアが付く「AP1‐130系以降」の後期デザインのモデルを選んでいるのも、「後期デザインが好きだから」である。
加えて、社外バンパーは基本的に「FRP」で制作されており、耐久性は純正に比べるとかなり低い点も、私が社外バンパーを嫌がる理由のひとつである。
ホンダが風洞実験や鷹栖を走り込んで作り上げた空力性能は「本物」
出典:S2000タイプS
私が欲しいのは「本物」の空力性能
なぜ私は無限リップでもなく、モデューロリップでもなく、「タイプSリップ」を選んだのか?
それは、タイプSリップが「本物の空力パーツ」だからである。
サーキットを主戦場とするS2000のフロントバンパーが、ダントツでタイプS仕様が多いのは有名な話である。
「タイプS仕様にしておけば間違いない」
「サーキットで速いS2000はタイプSリップが多い」
「100km/hを超えてからのフロントの食いつきは感動もの」
などなど、タイプSリップの空力性能の高さは折り紙つきである。
というのも、タイプSはホンダが風洞実験や鷹栖を走り込んで作り上げた「本物の空力パーツ」だからである。
チューニングショップでは到達しえない領域
私もメーカー勤めのエンジニアだが、メーカーは人、モノ、金が段違いに揃っている。
そのため、メーカーが本気になって空力に取り組めば、相当に次元の高いレベルの開発が可能なのである。
これはチューニングショップがどんなに頑張っても到達することができないレベルである。
0から1を創り出せるメーカーと、完成品の1を手直しするチューニングショップ、どちらの空力性能が優れているのかは言わずもがなである。
ずっと欲しかったタイプSリップが、ヤフオクで出品されている!
ヤフオクをパトロール中に発見!(しかも愛車カラーのムーンロックメタリック!)
適度に使用感がある中古が欲しかった(笑)
いつもの日課である、ヤフオクパトロールをしていると、前からずっと欲しかったタイプSリップが出品されているではないか!
しかも、色自体も愛車S2000のムーンロックメタリックで同色である。
今現在(2019年3月)、タイプSリップはディーラーで新品を購入可能である。
また、色によっては在庫があるらしく、純正ボディーカラーに塗装済みの新品が手に入るようだ。
「タイプSリップだけ無傷のピカピカというのもなんだかな〜」
「塗装済みの新品だと色違いが気になりそうだな〜」
という個人的な理由から、中古で探していた。
要はいい感じに使用感があり、年式相応に色落ちしているものが欲しかったのである。
偶然私が探していた程度のタイプSリップを見つけたのである。(笑)
早速嫁さんに相談→OKが出たので中古を落札!
そこで早速嫁さんに相談することにした。
私:「この純正リップスポイラー、どうしても欲しいんだけど」
嫁:「いくらするの?」
私:「5万くらいかな」
嫁:「え〜高くない?結婚式終わってからじゃだめなの?」
私:「ヤフオクは一点ものだから、今買わないとダメなんだよ。それにタイプSリップは仮に売るときも高く売れるし、絶対損はしないし、他にも…ゴニョゴニョ」
嫁:「うーん…、まあいいんじゃない?」
こんな交渉を何度か繰り返し、なんとか許可が下りた。(笑)
DIYで取り付け!
予算以内の4.75万で無事落札することができたため、必要な部品を揃え、ド素人DIYによってタイプSリップを装着した。
タイプSリップの取り付け方や必要な部品についてはS2000にタイプSリップをド素人DIYで装着せよ!装着に必要な部品と手順まとめ!を参考にして欲しい。
ホンダ入魂のタイプSリップの実力は半端じゃなかった!
なんとかタイプSリップ装着に成功した!
早速走行テストと思いきや、バッテリー上がり発生!
無事タイプSリップ装着できたので、私はウキウキとした気持ちでS2000に乗り込み、エンジンを掛けた…つもりだったがエンジンは掛からなかった。
どうやら「バッテリー上がり」が発生したらしく、JAF会員であった私はJAFに助けを求めた。
そのときの話はS2000に急なバッテリー上がり発生!会員なら無料で助けてくれるJAFを呼んでみた!を見ていただきたい。
JAFスタッフの迅速な対応のおかげで、S2000のバッテリーは生き返った。JAFありがとう!
気を取り直して、いざ走行テストへ
ということで、早速タイプSリップの実力を確かめるため、走行テストを行った。
リアディフューザー装着時は街中を走りだしてすぐに走りの違いを感じることができた。
しかし、タイプSリップは街中を流しているくらいでは、装着前との違いは特に見られなかった。
違いを感じたのはスピードレンジが3桁になるくらいからである。
「あれ、いつものスピードで駆け抜ける高速コーナーに安心感があるぞ!」
「ヘアピンコーナーでは特に変わってないな」
「高速コーナーでのフロントの食いつき感がとても良くて、めちゃめちゃ愉しい」
タイプSリップは「カナード」的効果だけじゃない?
タイプSリップは空力的に優れた技術が盛りだくさん!
サーキットを主戦場とするS2000オーナーがタイプSリップを装着している理由
これは「本物の空力パーツだから」だ。
以前、タイプSリップは「カナード」的効果によってフロントのダウンフォースを向上させていると思っていた。
どうやらそれだけではないようだ。
自分でバンパーを外し、穴を開け、タイプSリップを装着したからこそわかるのだが、純正の後期バンパーのデザインを生かしつつも様々な工夫がなされていると私は思うのである。
@てこの原理で効率よくダウンフォースを稼いでいる
現物を良く見ると、特にバンパーサイドが前に張り出しており、ラジエーター前も目に5cmくらい前に伸びていることがわかる。
「てこの原理」により、フロントのダウンフォースは前で発生するほど効率よく向上させることができる。
タイプSリップはてこの原理により、ドラッグを最小限に抑えながらも効率よくダウンフォースを稼いでいることが考えられる。
A車体下に空気を取り込む設計思想
タイプSリップをよく見てみると、タイプSリップ中央部はサイドに比べて高さが抑えられていた。
これはつまり、車体下に積極的に空気を取り込み、車体下のベンチュリー効果によってダウンフォースを稼ぐことを狙いとしていることが現物から感じられた。
これは現代のレーシングカーと同じ空力チューンの設計思想である。
B車体横の張り出しによって、車体横に空気を纏っている
タイプSリップによって、元々斜めになっていたラジエーター横からフェンダーまでの領域は、進行方向に真っ直ぐの面ができている。
そのため、車体横に流れ込む空気の流れは後期バンパーでは剥離してしまいそうな形状だが、タイプSリップ装着によって「車体横に空気を纏えている」状態になっていると考えられる。
この効果によって高速域での車体の安定感が大幅に向上しているのではないかと思う。
タイプSリップは、カナード的効果はもちろんのこと、それ以外にも3つの空力的効果を考えて設計されているように感じられた。
ホンダというメーカーが真面目に真摯に試行錯誤の中で生み出した「タイプSリップ」、これからも大切に使っていきたい。
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