ブレーキディスクで走りが変わる?ソリッドとベンチレーテッドの違いとは?
愛車S2000のフロントブレーキ
ブレーキディスクとはブレーキパッドを押し当てるもの(別名:ローター)
ブレーキディスクとはブレーキパッドを押し当てる鉄の円盤である。
上の画像は愛車S2000のフロントブレーキで、社外品であるENDLESSのブレーキキットを奢っている。
理由はS2000のブレーキ性能を強化するためである。
ENDLESS「RacingMONO4」でS2000のフロントブレーキを強化せよ!
今回はブレーキの性能に大きく関わる「ソリッド」と「ベンチレーテッド」の基本的な違いと両者のメリット・デメリットについてお話することとする。
ソリッドとベンチレーテッド、一体何が違うのか?
出典:ベンチレーテッドディスク(左)とソリッドディスク(右)の違い
違いは摺動部の形状にあり
ソリッドディスクとベンチレーテッドディスクの違いは、簡単に言うと「摺動部の形」である。
摺動部はブレーキパッドを押し付ける部分のことである。
上の画像を見ると、ソリッドディスクは摺動部が何の変哲もない板状の構造だが、ベンチレーテッドディスクは摺動部に穴が開いており、摺動部が上下に分かれていることがわかる。
この形の違いが、ソリッドディスクとベンチレーテッドディスクの決定的な違いである。
ソリッドディスクとベンチレーテッドディスクは役割によって使い分けられる
役割分担がされているソリッドディスクとベンチレーテッドディスクだが、「熱がどれくらい発生するか?」で使用用途が分かれるものである。
普通車のリアや軽自動車のフロント等、あまりブレーキディスクが発熱しない負荷が少ない場合、基本的にソリッドディスクが使用される。
逆に、普通車のフロントやスポーツカーのブレーキは、ブレーキの負荷が大きいため、基本的にベンチレーテッドディスクが使用されている。
ソリッドディスクとベンチレーテッドディスクの大まかな違いがわかったところで、次はそれぞれのメリット・デメリットを見ていこう。
ソリッドディスクのメリット・デメリットとは?
出典:Biot
ソリッドディスクのメリットは「軽さ」
ソリッドディスクのメリットは何と言っても「軽さ」である。
摺動部が1枚しかないため圧倒的に軽く、ばね下重量の低減させることができる。
その結果、加速や減速が良くなり運動性能が向上する。
そのため、燃費命のエコカーや軽自動車は軽量化による燃費向上のため、ソリッドディスクを装着していることが多い。
ソリッドディスクのメリットは「軽さ」だが、その最大の長所は使用用途によっては、大きな欠点になってしまう。
ソリッドディスクのデメリットは普通に街乗りで使用する分には一切顔を出すことはないのだが、ブレーキに負荷の掛かるスポーツ走行のような場面では顔を出すのである。
ソリッドディスクのデメリットは「温度が上がりやすく、フェードやペーパーロックしやすいこと」
軽さゆえの運動性能の高さがソリッドディスクの魅力なのだが、それはブレーキ負荷の少ない場面に限定される。
ブレーキ負荷の大きい場面ではソリッドディスクの軽さが悪さするのである。
ソリッドディスクのメリットである軽さは、「熱容量が少ないことの裏返し」なのである。
軽くて摺動部を冷やすことができない構造のソリッドディスクは、ローター温度があっという間に超高温になってしまうという宿命を持っている。
例をあげると、S2000は純正状態ではリアがソリッドディスクのため、サーキット走行などのブレーキ負荷が高い場面では、リアのソリッドディスクはフロントのベンチレーテッドディスクよりも高温になってしまう。
通常、フロントの方がブレーキ負荷が大きいため、リアより高温になるのが普通なのだが、S2000はリアの方が50〜100℃も高くなってしまうのである。
そのため、リアのブレーキパッドが高温に耐えきれずフェードやペーパーロックを起こしたり、異常摩耗したりする。
さらに、リアブレーキ周辺のハブやドライブシャフト、デフなどが熱害によって壊れるという事態に発展してしまうのである。
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ベンチレーテッドディスクはソリッドディスクの弱点を克服したもの
出典:ベンチレーテッドディスク
ベンチレーテッドディスクのメリットは「冷却性能が高く、スポーツ走行に対応できること」
ソリッドディスクは街乗りでは軽くて最高なのだが、スポーツ走行などの負荷の高い場面では冷却性能の低さが仇となってしまう。
そこで誕生したのがベンチレーテッドディスクである。
ベンチレーテッドディスクはその名の通り、ベンチレーテッド(換気された)ディスクという意味であり、摺動部に空気が通る換気用の窓を設けたような設計になっている。
ベンチレーテッドディスクの設計思想は、軽さゆえに高温になってしまうソリッドディスクを重量を増やすことで対応させようとしたのではない。
ベンチレーテッドディスクは重量増というデメリットを最小限にし、摺動部に空気を通すことで放熱性を上げる(ディスク温度を下げる)という画期的なアイディアを採用したものである。
「ソリッドディスクを厚く大きくすることで熱容量を上げることはできるが、それではばね下重量が重くなってしまい、運動性能が落ちてしまう。
相反する軽さと熱容量、なんとか両立する方法はないか?」
プロジェクトXに出てくるようなものづくりに対する情熱が、ベンチレーテッドディスクを生み出したのであろう。
かく言う私も、S2000のリアブレーキは「ソリッド→ベンチレーテッド」化して、走行性能を強化している。
S2000リアブレーキ強化!RX-7純正リアブレーキ流用でソリッド→ベンチ化せよ!
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