初めてサーキットの走行会に一人で参加してみてわかった3つのこと
日光サーキットで行われたアルボードライビングレッスンに初参加!
ずっと走ってみたかった「サーキット」
車好きにとって「サーキット」という場所は特別な場所である。
多くのスポーツカー乗りでいきなりサーキットデビューする人はおそらく少数で、大多数の人は公道(峠)で走らせるうちに「サーキット走ってみたい」となるのではないだろうか?
そんな私も「いつかはサーキットを走ってみたい」と思っていた人間の一人である。
公道では愛車の性能を発揮して走らせることは不可能である。
人や動物、対向車を考慮して走る以上、かなりの安全マージンを取って走らなければならない。
それは安全マージンの分だけ限界から遠ざかっていることと同じであり、スポーツドライビング好きにとっては物足りない。
そこで今回、ずっと走ってみたかった「サーキット」に挑戦してみることにした。
初めてのサーキットデビューに選んだのは峠の魔王「アルボー」のアライメント調整で、扱いやすくて速いS2000を目指せ!でお世話になった、
「アルボー」主催のアルボードライビングレッスン(in日光サーキット)である。
「峠の走り屋」=「サーキットの慣熟走行レベル」に過ぎない
出典:イニシャルD
慣熟走行の時点で結構なハイペース
サーキットを走らせるのは初めてだったため、「慣熟走行」なるものを行った。
慣熟走行とは、そこそこのペースで走る先導車に付いてサーキットを1周走り、コースレイアウトなどを確認する練習走行みたいなものである。
これがなかなかのペースで、峠を良いペースで走るくらいのペースに感じた。
てっきり街乗りくらいのペースでゆっくりと1周するだけだと思っていたため、なかなか速く感じたのは確かである。
サーキットは次元の違う世界だった
慣熟走行を終え、いざ自分の走行枠が来たので走ってみた。
走り出してすぐには全開走行はせず、2週くらい7割くらいのペースで走ってみた。
その時点で峠レベルよりも遥かにコーナリング中のGが高く、ヘルメットの重さもあって結構大変である。
その後、少しずつペースを上げていき、自分の8〜9割くらいのペースで走ってみたが、この時点で愛車S2000は峠とは異なる挙動を見せるようになった。
ブレーキングを残しながら進入すると、ちょっとしたブレーキングドリフトのようにリアがスライドし始めるのを感じた。
正直、峠ではこの挙動は危なくて試せない。
サーキットは路面が綺麗で路面グリップが高く、滑りだしてもブレーキを緩めるとリアがスライドする挙動が収まったりした。
私が求めていたのは「峠では試せない挙動を試せる場所」だったんだと思う。
おっかなびっくりしながらもなんとか15分1本を走行することができた。
悲劇が起きたのは2本目のことであった。
さあ、ドラテクを磨こう!
初心者ほど「タイム」よりも「安全対策」にお金を掛けるべき
ドライバーのスキル不足で大事な愛車が大クラッシュ!(涙)
念入りにタイヤを温め、タイヤが温まるまで決して全開走行してはいけない
2本目は1本目でサーキットの雰囲気が何となくわかり、もう少し攻めてみたい気持ちになった。
そこがいけなかった。
2本目は開始早々9割くらいのペースで走りはじめ、しっかりとタイヤを温める前に攻め始めてしまった。
本来はブレーキングやアクセルでタイヤを潰して温めたり、ブレーキの発熱をホイール、タイヤと伝えていく作業が必要であった。
しっかりタイヤが温まるまでは絶対に全開走行をしてはならない。
だが、峠を走っているレベルではタイヤが温まっているのかどうかを気にするレベルではなく、タイヤが温まっているかどうかはよくわからなかった。
タブーを犯した私に待っていたのは「大クラッシュ」である。
これは当然の報いである。
タイヤが温まる前はグリップレベルが低く、プロでも非常に気を遣って丁寧に運転するそうだ。
そんな段階で限界が高く難しいと言われるS2000をサーキット初心者がコントロールできるはずもない。
クラッシュしたのは日光サーキット第9コーナーである。
日光サーキットで最もスピードが乗る高速コーナーであり、クラッシュするS2000が後を絶たないそうだ。
私もそのことを事前の調べで知っており、気を付けて運転していたが、タイヤが温まっていないS2000はサーキット初心者に扱えるものではなかった。
第9コーナー出口を加速しながら立ち上がって行ったときだった。
リアタイヤがスライドし始め、カウンターを当てたときには「時すでに遅し」の状態であった。
車体は内側を向いており、クラッシュは避けられないと悟った。
そのまま滑空していき、土手と言うかタイヤバリアに盛大にクラッシュした。
そのときの状況ははっきりと覚えていない。
日光サーキットのコースレイアウト
運転席ガラスを粉々に粉砕したが、ヘルメットをケチらなかったおかげで頭部は無傷
クラッシュした瞬間、すごい衝撃が体に伝わり、車体ごと宙に舞ったのを感じた。
そして頭をどこかに強くぶつけた途端、砂かガラスかわからないものが車内に降り注いだ。
クラッシュの衝撃が収まり、恐る恐る目を開くとエンジンルームから「煙」が出ているのがわかった。
「生きなきゃ」とすぐに思い、慌ててエンジンを切り、何とか運転席から逃げ出した。
とりあえず体は大丈夫そうだった。
クラッシュしたS2000から降りて辺りを眺めると、変わり果てた愛車の姿がそこにあった。
どうやらヘルメットで運転席側のガラスを粉々に叩き割ったらしい。
それが降り注いだようだ。外したヘルメットを見てみたが傷一つない。
「ヘルメットに投資しておいて良かった」と心から思った瞬間であった。
私が買ったのはアライのGP-6Sという4輪用のFIA公認のヘルメットで6万円くらいする高価なものである。
だが、今回大クラッシュしたにも関わらず、頭部は無傷で命も助かった。
もし安物のヘルメットでクラッシュしていたらと思うと、今でも寒気がする。
頭蓋骨骨折や流血して、最悪は「命を落としていた」かもしれない。
ヘルメットは「命の値段」なのである。決してケチっていいものではない。
今回の経験を通して、クラッシュする可能性の高いサーキット初心者ほど、安全装備にお金を掛けるべきだと思った。
今回資金的に導入できなかった「HANS」や「ロールバー」、「4点式シートベルト」は車体のチューニングより優先してお金を掛けた方が良い。
「車遊びは命あってこそ」である。
車遊びをしている方々はみんな優しくて暖かい人達ばかり
アルボードライビングレッスンの講師陣
みんな過去にクラッシュ等の辛い思いを経験して、それを乗り越えてきた人達ばかり
クラッシュした直後、不思議とあまり悲しくはなかった。
クラッシュ直後は体が無事だったことに安心したからだと思う。
しかし、時間が経つにつれ、切ない気持ちになってきたのも確かである。
そんなとき、講師陣や参加者がクラッシュして落ち込んでいる私を気遣って、暖かい言葉を掛けてくれた。
「俺も昔、大事な車をクラッシュしてすごい辛かったよ」
「レーシングドライバーでも、みんな一度は経験する道だよ」
「修理大変だと思うけど、頑張って直してまた必ず戻っておいでよ」
「みんな自分で経験してきた人達ばっかりだから、助けたくなるんだよ」
「車はクラッシュしちゃって残念たけど、体が無事で良かった」
そんな言葉に私は救われ、本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。
また、一人で自走で参加した私は積載車を頼むツテもなく、帰りの足もなかった。
そんなとき主催者のアルボー柴田さんが手を差し伸べてくれて、積載車と鈑金修理の手配をしてくれた。
FUNTIME代表の木内さんは「帰り道の方向だから家まで送ってってあげるよ」と親切に家まで送ってくれた。
「今度困っている人がいたら助けてあげてね」と木内さんは私に言った。
本当にみんな優しくて暖かい人達ばかりだった。この恩は一生忘れない。
また「S2000」でサーキットを走りたい
クラッシュ前の愛車S2000
やっぱり自分の気持ちに嘘は付けない
修理に掛かる費用も高額だろうし、元通りに綺麗に直るかはわからない。
またクラッシュさせて辛い思いをするかもしれない。
最悪はケガや命を落とすかもしれない。
それでも私はこの場所に戻りたいと思う。
やっぱり自分の気持ちに嘘は付けない。
「もう一度S2000でサーキットを走りたい」
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