峠の魔王「アルボー」のアライメント調整で、扱いやすくて速いS2000を目指せ!

出典:ARVOU 柴田優作

 

ジムカーナ全日本チャンピオン&スーパーGTドライバー&峠の魔王=ARVOU柴田さん

私が柴田さんのことを知ったのは「峠最強伝説」である。

 

峠最強伝説は群サイこと群馬サイクルスポーツセンターを舞台に、最速の称号「魔王」を手に入れるべく、国内でも指折りのチューニングショップがしのぎを削っている。

 

その中で私は「ARVOU」を知ることになった。

 

アルボーのS2000は見た目が普通で、他のチューニングショップのようなワイドボディー化をしていないのに、「やたら速い」印象であった。

 

実際アルボーS2000は峠の魔王の称号をゲットしていたし、群サイだけでなく、どこのサーキットを走ってもいつも上位に食い込んでくる印象があった。

 

そこで今回は、S2000のセッティングに対して豊富なノウハウや技術力を持つARVOU柴田さんの力を借りて、愛車S2000のコーナリング性能を引き上げようというのが目的だ。

 

S2000をもっと愉しむチューニング 

 

 

 

私のS2000は「チューニングカー」である

S2000タイプVの「VGS」のコーナリングはクイックすぎて危険?

 

チューニングカーはチューニングカーのバランス取りが必要不可欠

S2000に限らず車は「ノーマル」の状態でバランスが取れている。

 

純正ドノーマルの状態は、ホンダが莫大な開発費を掛けて走行性能や耐久性、コスト、見栄え等々のバランスを考え抜いて生み出された「コンプリートカー」なのである。

 

つまり、純正ドノーマルの状態からチューニングするということは、メーカーフルチューンのバランスを崩すことであり、新たにバランスを取らなければチューニングは「デチューン」になってしまう。

 

私のS2000は中古で購入した状態で既にチューニングカーであり、私は素のS2000がどんな乗り味なのかわからないのが悩みの一つである。

 

ENDLESS「RacingMONO4」でS2000のフロントブレーキを強化せよ!

 

前後255幅のハイグリップタイヤが活かせていないのではないか?

私のS2000は吸排気+コンピューター仕様に、前後255幅のハイグリップタイヤ(17インチ)、社外の車高調がインストールされている。

 

さらに機械式LSDやブレーキシステムもトータルチューニングしている。

 

タイプSリップやリアディフューザーによって空力チューンも行っているライトなサーキット仕様である。

 

速く走るための空力チューン大特集! 

 

元々S2000は「ピーキーで扱いにくい」と言われているが、純正の状態を知らないため、今現在のチューニングされた状態が乗りやすいのか乗りにくいのかさえ自分でわからない。

 

なんとなく私が思ったのは、「本当はS2000はもっと乗りやすくて、めちゃめちゃコーナリングスピードが速いのではないか?」ということである。

 

私がそう思ったのは、上りの高速コーナーの連続で初期型フォレスター(STI)に旋回性能で負けてしまったのがきっかけである。

 

長く回り込んだ高速コーナーではもろに車のコーナリング性能が露呈する。

 

愛車S2000のチューニング内容を考えれば、「4駆のSUV」に高速コーナーの旋回性能で負けるはずはないのである。

 

なぜならS2000は長く回り込むような高速コーナーが「異常に速い」ことで有名だからである。

 

それが私のS2000はどうしてもフロントがズルズルと逃げていってしまい、アンダーステアでそれ以上のスピードでは曲がれなかった。

 

フィーリング的にはタイヤのショルダーでゴリゴリしている感じである。

 

私が疑ったのは「255幅のフロントタイヤが上手く使えてないのではないか?」ということである。

 

S2000タイプVの「VGS」のコーナリングはクイックすぎて危険?

 

峠の魔王「アルボー」柴田さんに相談だ!

ARVOU店内に展示してあった「魔王決定トーナメント出場権」

 

初めての「ショップ」はドキドキ!

私が疑問に思ったことは「フロントタイヤの性能を活かせていない」=「フロントのキャンバーが足りない」ということである。

 

だがネットで調べてみても、私の疑問に対する明確な答えはなく、周囲の車好きに相談しても「キャンバー付ければ曲がるんじゃない?」くらいで、

 

何度くらいキャンバーを付ければ最適なのかわからなかった。

 

そこで今回は、S2000で峠の魔王に輝き、自らも凄腕ドライバーでなおかつメカニックとしてセッティングも出している、ARVOU柴田さんのお世話になることにした。

 

S2000のプロに聞くのが最も確実で近道だと思った。

 

もちろん、チューニングショップなんて行ったことはなく、内心ドキドキであった。

 

S2000は「車高調とLSD、アライメントのセッティング」で乗りやすさが激変する

柴田さんはそう話してくれた。私がキャンバーについて相談すると、

 

「コーナリングにおけるフロントキャンバーは実はそれほど重要ではなく、最低地上高10cmでは2°くらいしか付かないが、実際それでも十分。

 

仮にもっと付ける場合でも3°くらいで、純正アッパーアームでサーキット走行しているお客さんが多い。

 

純正以上のキャンバーが欲しい場合はイケヤのアッパーアームを勧めている。」

 

「リヤのキャンバーが付きすぎてリヤが粘ってアンダーっぽくなっている可能性があり、リヤのキャンバーを立てるとバランスが取れるかもしれない。」

 

と教えてくれた。

 

見た感じではリアはキャンバーが付き過ぎで、フロントは逆にキャンバーが足りないように感じていたから、キャンバーが問題なのかもしれない。

 

走行距離も7万kmくらいで痛みが気になっていた「ブッシュ交換」について相談してみると、

 

「7万km走行くらいの場合、ブッシュは大抵痛んでるが、それほど優先順位は高くない。」

 

 

「車高調はブッシュが痛んでいる状態のままで新品を入れても良さを体感できるが、逆にブッシュを新品にしても車高調が抜けていればダメ。」

 

 

「ブッシュはショックの動きを良くするため、無限やスプーン等のハードブッシュ化ではなくフルピロ化がオススメ。走りを追求するならフルピロ化がいい。

 

乗り心地もゴムブッシュに比べてフルピロ化の方が良く、ボディーに与えるダメージも問題ない。

 

費用はブッシュ交換15万、フルピロ化25万でアライメント込み。」

 

と教えてくれた。

 

ブッシュ交換よりも車高調が与える影響の方が大きいと柴田さんは言っていた。

 

LSDも重要で、

 

「LSDはクスコのLSDなら仕様変更でマイルドにすることが可能。

 

そうすれば高速コーナーでのプッシュアンダーによるアンダーステアは収まるかもしれない。」

 

まずはアライメントを取って、それでしばらく走ってみて満足できるならそれでOK

続けて、
「それでも不満があるなら、車高調の変更やLSDの仕様変更をすればいいと思うし、ブッシュ交換orフルピロ化は優先順位は高くはないが、お客さんがやりたいなら先にやるのも良いと思う。」

 

「もちろん、予算に余裕があればフルピロ化はオススメで、車高調、LSD、アライメント、フルピロ化を含めたトータルセッティングを任せてくれれば、峠の魔王仕様のセッティングを出すことも可能です。」

 

と柴田さんはアドバイスをくれた。

 

柴田さんは「お客さんがどうしたいかが重要、それがはっきりすれば、お手伝いをさせて頂きますよ。」

 

と何度も口にしていたのが記憶に残っている。
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まずはアライメントを取ってみよう!

アライメント調整中

 

走り重視のアライメントで!

予約していた時間にARVOUに行き、いざ作業を始める前にどのような仕様にするのか最終チェックをした。

 

私はS2000に関しては「走り」が最優先であり、街乗りにおけるタイヤの偏摩耗などお構いなしである。

 

それは普段の通勤車にワゴンRがあり、S2000は週末しか乗らないからである。

 

そのため、もちろん走り重視のアライメントにしてもらうようにお願いした。
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調整前:トーはめちゃめちゃで、前後のキャンバーもバランスがおかしい

調整前の状態は一言でいうと、「ヘンテコ」なセッティングになっていた。

 

トーは前後とも「トーアウト」で、フロントもリアも左右差がひどい状態であった。

 

さらにキャンバーはフロントが1°以下で、リアは4°以上も付いていた。

 

これではまともに走ることは難しく、なんだか落ち着かないハンドリングになっていたのも仕方ない。

 

前後トーアウトではせっかくのS2000の限界の高いコーナリング性能が台無しだし、

 

高速コーナーでフロントが逃げるのもリアに対してフロントのキャンバーが足りていないのが原因であることがよくわかった。

 

調整後:Fはトーアウト、Rはトーインに、前後のキャンバーも良い感じにバランスが取れた

唯一アライメントの仕様で私がお願いしたのは「フロントのキャンバーを出来るだけ付けて欲しい」ということだった。

 

これは高速コーナーでフロントに履かせた255幅のハイグリップタイヤのポテンシャルを最大限発揮させるためである。

 

その要望に合わせて、リアのキャンバーは立たせてくれた。

 

さらにフロントのキャンバーを寝かせるとともに、セットでフロントをトーアウトに。

 

これはハンドルのレスポンスUPなどが狙いで、まさに「走り重視」のアライメントである。

 

レーシングカーでもフロントのキャンバーとトーアウトは定番の組み合わせらしい。

 

さらにトーアウトになっていたリアは、「トーイン」に調整され、S2000が元々持っていたであろう高速コーナーでの限界の高い旋回性能を重視したアライメントになっている。

 

これは走りがどう変わったか愉しみだ!
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扱いやすくて、アクセルが踏めるようになった!

記念に写真撮影!

 

怖さが全然なくなって、アクセルで曲げられるようになった!

ARVOUの前で記念撮影をし、意気揚々とS2000を走らせた。

 

最初に感じたのは「ハンドリングの軽快さ」である。

 

VGSが搭載されている私のS2000はただでさえクイックなハンドリングだが、今回は「スムーズにレスポンスの良さ」もプラスされた感じである。

 

S2000タイプVの「VGS」のコーナリングはクイックすぎて危険?

 

停車時もハンドルがブレることなく、とても素直になったのが嬉しい。

 

帰宅中にワインディング区間があったので、スポーツドライビングをしてみた。

 

そこで感じたことは「怖さを微塵も感じさせずに、高いコントロール性がある」ということである。

 

FRのアクセルで曲げる走りがとてもやりやすくなり、ターンインから積極的にアクセルを開けて行けるし、ゼロカウンターでグイグイ曲がっていく感じがとにかく気持ちよかった。

 

フロントのキャンバーを寝かせてもらったおかげで、高速コーナーでも嫌な「アンダーステア」に悩まされることなく、自分が思っていたよりも遥か先にS2000本来の高い旋回性能があることがわかった。

 

さすが「峠の魔王」!素晴らしいセッティングをありがとう!

アライメント調整は2.5時間くらい掛かり、料金は税込み2.7万円であった。近所の車屋でアライメント調整をすればもっと安く済ますことができるが、

 

今回はチューニングカーS2000のアライメントの「基準」を作ってもらったことに大きな価値がある。

 

今後はこのアライメントデータをもとに、自分好みに調整していけば良いと思う。

 

やはり、「峠の魔王」の技術力の高さは凄かった。

 

あんなに気難しいS2000がこうも乗りやすく、愉しい車になるなんて本当に感謝の気持ちいっぱいである。

 

これからもセッティングに迷ったらARVOUに相談しにいこうと思った瞬間であった。

 

S2000をもっと愉しむチューニング

 

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