S2000リアブレーキ強化!RX-7純正リアブレーキ流用でソリッド→ベンチ化せよ!

出典:S2000

 

S2000のリアブレーキは「熱害」の原因

S2000の故障個所はリア周りに集中?原因はリアブレーキにあった!で書いたように、S2000の「アキレス腱」ともいうべき弱点は「リアブレーキ」である。

 

S2000の故障個所は「リア」に集中しているのが現状であり、主にデフやハブ、ドライブシャフトなどの駆動系にトラブルが多い。

 

特にこれらのトラブルはサーキット走行などのハードな走りをしている車体で多く発生している。

 

そこで今回は、S2000の「アキレス腱」である「リアブレーキ」をビッグローター化&ベンチレーテッド化することで、

 

熱害から守るとともに、より気持ちよく走り回れるようにするべく、リアブレーキ強化を行うことにした。

 

S2000をもっと愉しむチューニング

 

 

 

ソリッドローター&熱容量が小さい→リアブレーキの熱害に苦しむS2000

出典:ブレーキローター(左:ベンチレーテッドローター、右:ソリッドローター)

 

FRのリアブレーキの仕様がFFと同じなのは「設計ミス」だと思う

S2000は前後重量配分50:50のFRであるにもかかわらず、リアのブレーキローターはFFのタイプRと同等のソリッドローターなのである。

 

簡単に言うと、ブレーキシステムはFFのタイプR軍団の使い回しみたいなものなのである。

 

FFはご存じのように「フロントヘビー」であり、リアブレーキの負担はかなり小さく、ほとんど荷重の乗っているフロントブレーキで止めているようなものである。(実際は前8:後2ぐらい)

 

それに対してS2000は、前後重量配分が50:50でFRにしてはリアに荷重が乗っている。

 

つまり、FFよりもはるかにリアブレーキの負担は大きい。(実際は前6.5:後3.5くらい)

 

にもかかわらず冷えにくいソリッドローターで、熱容量の小さいFF用のローターでは当然温度が上がりすぎてしまう。

 

ブレーキディスクで走りが変わる?ソリッドとベンチレーテッドの違いとは?

 

S2000はリアブレーキによる熱害でS耐を完走できなかった過去があり、実際、S耐などのノーマル然としたレースでは、リアブレーキの温度は700℃近い温度まで上がってしまったという。

 

その結果、ハブやデフ、ドライブシャフト等の周辺部品は熱害によって故障してしまい、S2000は最後まで完走できずにリタイヤが続出したという。

 

つまり、ビッグローター化とベンチレーテッド化によってリアブレーキのキャパを上げることこそが、S2000を気持ちよく走らせるうえでは欠かせないのである。

 

RX-7のリアブレーキはS2000に流用可→大径化&ベンチ化が可能に!

出典:RX-7

 

マツダのFR作りのノウハウが注ぎ込まれたS2000だからこそ可能な「流用チューン」

ホンダと言えば「タイプR」に代表されるようにFF車をもっぱらメインで手掛けてきた自動車メーカーである。

 

そのためか、ホンダ久々のFR車であったS2000は、ロードスターやRX-7、RX-8等のFRスポーツカー作りに定評のあるマツダから技術提供を受けていたというのは有名な話である。

 

そういった事情を知ってか知らずか、S2000のリアブレーキ強化にはRX-7やRX-8のキャリパーやローターを使ったビッグローターキットが各チューナーから用意されているのである。

 

ブレーキ強化におすすめ!ビッグローター化すると得られる5つのメリットとは?

 

リアのビッグローター化で、フロントのENDLESS「RacingMONO4」とバランスを取る

私のS2000の場合、ENDLESS「RacingMONO4」でS2000のフロントブレーキを強化せよ!によってフロントブレーキはENDLESS「RacingMONO4」によって武装されている。

 

そこで今回のリアブレーキ強化によって前後のブレーキバランス(効き、熱容量、見た目など)を取る必要がある。

 

実際は、S2000の重心高やホイールベース、キャリパーピストン径、ローター径、パッドの摩擦係数μ、マスターシリンダー径、前後重量配分、タイヤサイズなどをすべて計算&考慮して、

 

実制動力配分が減速度1Gのときに4輪ブレーキロックするようにブレーキバランスを設計してみた。

 

実際は純正ブレーキシステムよりも気持ち「フロント寄り」のブレーキバランスにしてみた。

 

(実際に計算したプロセスを記事にしても良いのだが、マニアック過ぎて興味ないと思うので今回は省略した)

 

誰も知らないブレーキの話 

 

専用ブラケットとRX-7純正リアキャリパー、ローター、パッドがあればできる

出典:ALTEX(S2000リアベンチレーテッドローターRX7(FD3S)流用取付けキット)

 

キャリパーはヤフオクで中古OH済を入手、パッドとローターは予算に合わせてお好みで!

始めに注意しておかなければならない点が2つある。

 

それは「RX-7のリアキャリパーは16インチ用」「ローターは17インチ用」を使用することである。

 

RX-7についてはオーナーではないのでS2000ほど詳しくはないのだが、RX-7(FD3S)のブレーキはグレードによって17インチ仕様と16インチ仕様がある、ということである。

 

パッドは17インチと16インチ用で共通であるため、キャリパーのブラケットの長さで17インチと16インチ仕様を使い分けているのであろう。

 

キャリパーは新品が手に入るのかどうか不明(手に入ったとしてもめちゃめちゃ高い可能性大)だったため、ヤフオクにて中古のOH済キャリパーを約3万円で入手した。

 

ローターはプロジェクトμのSCR-GTでRX-7純正17インチサイズ(314mm)を選択し、パッドはウィンマックスのAP2を選択した。

 

本当はフロントのENDLESS「RacingMONO4」に合わせてENDLESSのローターにしたかったが、ない袖は振れない。

 

似たようなデザインの2ピースローターがラインナップされていたプロジェクトμ製にした。

 

ENDLESSがRX-7の純正サイズのE-スリットの2ピースローターを販売してくれたら買うのにな〜。(笑)

 

というわけで、キャリパー、ローターはサイズに気を付けて、お財布事情に合わせてディクセルでも2ピースローターでもお好きに選んで頂きたい。

 

ちなみにブレーキホースは取り回しの柔軟性に優れたS2000用のENDLESSスイベルレーシングを使用した。

 

リアブレーキ強化に掛かったコストは「22万円」

参考までにリアブレーキ強化に掛かった費用は、

 

RX-7キャリパー3万、ALTEXブラケット5.3万、SCR-GT7.7万、ウィンマックスパッド1.48万、スイベルレーシング1.95万、マスターシリンダー0.6万(故障したため交換)、工賃1.9万の約22万円であった。

 

これを安いと思うか高いと思うかはあなた次第である。

 

ちなみに私は当時ブレーキ命だったので全く高いとは思わなかった。(笑)

 

実際にRX-7のリアブレーキを装着&ガチ走りしてみた印象 

愛車S2000のリアブレーキは「RX-7」で出来ている

 

熱が入るまで時間が掛かるが、入れば安定したブレーキングが可能

純正のソリッドローター(Φ282mm t12)からRX-7のベンチレーテッドローター(Φ314mm t20)に変えたことで大幅に冷却性と熱容量をアップさせることができた。

 

それもあってか、安定した効きになるまで何回か制動しなくてはならなくなった。

 

また、冷却性と熱容量が大幅にアップしたこともあり、街乗りでは以前の方がブレーキの効きが良かったと思う。

 

パッドには最適な温度範囲があり、それ以上でもそれ以下でも効きが安定しなかったり、弱かったりするのだが、普通に街乗りしている感じでは温度が最適な温度に達していない可能性が高い。

 

逆に、ブレーキに負荷を掛けてガンガン攻め込んで行ったときのフィーリングには思わずニヤリとしてしまった。

 

必要以上に温度が上がらず、常にベストな温度範囲でブレーキングできているような感じで、ブレーキングがかなりコントロールしやすい印象を受けた。

 

ダウンヒルで最高のブレーキバランスに

そんな調子でいつもの峠を攻め込んでみると、純正よりフロント寄りにしたブレーキバランスのセッティングのためか、ヒルクライムではリアブレーキの効きが物足りなく感じた。

 

意外な事実だが、S2000純正リアブレーキは結構攻めた比率にセッティングされており、普通のFR車よりもリアブレーキの制動力配分は大きめである。

 

積極的にヨーを作り出すのが目的かもしれないが、ダウンヒルではいささかスリリングである。

 

その点、純正よりフロント寄りにセッティングした今回のブレーキバランスは、ダウンヒルでは最高のブレーキバランスであった。

 

純正で感じたブレーキングでのリアのふらつき感がなくなり、いくらでも突っ込んでいけると思わせるような安心感があった。(実際はほどほどで自粛)

 

攻め込んでいってもパッドがフェードしたときの嫌な臭いも皆無で、前後のブレーキの戦闘力はそのままレースに出ても戦えるくらいだと思う。

 

それくらい純正ブレーキに比べて冷却性と熱容量がアップしているのは間違いないだろう。

 

サイドブレーキの効きが明らかに弱くなった

ガチ走りに関しては良いこと尽くめだったRX-7純正リアブレーキ移植だが、意外な弱点が露呈した。

 

それはサイドブレーキの効きが明確に悪化したことである。

 

どれくらい効きが弱くなったかというと、ちょっとした坂で今まで通りサイドブレーキを引くと、下がっていってしまうほどである。

 

同じくらい効かせるには、結構な勢いでサイドブレーキを引かなければ効かなくなってしまった。

 

これはRX-7のリアキャリパーのピストン径がS2000純正よりも小さいからである(Φ40.5→Φ34.9)。

 

RX-7はマスターシリンダー径がS2000よりも小さいため、そのままS2000に流用すると純正よりも効きが悪くなってしまうのは仕方ないだろう。

 

前後のブレーキバランスは前後のパッドで調整するのが効果的である。

 

今回はフロント:ENDLESS TYPE-R(μ:0.3〜0.35),リア:ウィンマックスAP2(μ:0.34〜0.36)でセッティングした。

 

前後255幅のハイグリップタイヤを履いていることもあり、ABSを介入させるには結構な踏力が必要である。

 

個人的には前後のパッドをもう少し効きの強いパッドにするともう少し楽にブレーキロックさせられるはずである。

 

純正17インチホイールも履けて、車検も難なくクリア!

RX-7の純正リアブレーキはS2000純正と同じサイドブレーキ兼用のリアキャリパーである。

 

そのため、そのまま車検をクリアすることができた。

 

RX-7のローターサイズは314mmと17インチローターであるため、純正の17インチホイールが何の問題もなく履けるのである。

 

これはかなり有難いことである。

 

ENDLESS「RacingMONO4」でS2000のフロントブレーキを強化せよ!によってフロントは純正ホイールを履くことができない。

 

純正ホイールを履ければ車検は余裕でクリアできるのだが、フロントはそうもいかない。

 

しかし、RX-7の純正リアブレーキを流用したブレーキチューンはそのまま車検もクリアできるのでオススメである。

 

S2000をもっと愉しむチューニング

 

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