オープンカーの宿命である幌の劣化、あなたが取るべき選択肢は幌の張替えorハードトップ化?
オープンカーの幌が破れた!DIYで愛車S2000の幌の補修をやってみた!
オープンカーの幌は「消耗品」
乗っているうちに幌は痛み、だましだまし補修しながら乗っていても、いつか必ずどうにもならない状態になり、幌を張り替えなくてはならない状況になる。
そのときに、
「幌を張り替えようか、それともハードトップ化?」
「そもそも幌の張替えとハードトップ化、どれくらい費用が掛かる?」
「ハードトップ化することのメリット・デメリットって?」
などいろいろな悩みが浮かんで来ると思う。
そこで今回は、幌が破れてしまって幌を張り替えるか、ハードトップ化するか悩んでいる人に向けて話してみようと思う。
気軽にオープンエアーを愉しみたいなら「幌の張替え」
出典:ASM
これから先もオープンカーとして乗っていきたいなら「幌の張替え」
オープンカーの一番の魅力であるオープンエアーをいつでも気軽に愉しめるのは、幌の張替え以外にない。
幌を新品に張り替えることで愛車には嬉しい変化が起こる。
そこで、幌を新品に張り替えることで起こる変化をまとめていこう。
変化@幌を張り替えると見た目が若返る
私のS2000もそうだが、幌が痛んでくるとそれだけで安っぽく見えてしまう。
幌の色も太陽光の紫外線によってどんどん色褪せていき、元々黒だった純正幌もなんだか白っぽくなってくるが、幌を新品に交換するだけで、ガラリと印象が変わる。
化粧品のCMのように肌のシワやたるみがなくなり、シミやそばかすのない美しい肌に生まれ変わる。
外見に占める幌の面積は大きいため、「色白は七難隠す」と同じようにきれいな幌は愛車の七難を隠してくれるだろう。
変化A静粛性や快適性が上がる
幌は痛んでくると生地が擦れて、しまいには穴が開いたり破けたりしてしまう。
普通の車と違って屋根に断熱材などの消音効果のあるものが幌にはない。
幌が擦れて薄くなったり、穴が開いたりすると途端に外の音が入ってくるようになってしまう。
建物の中にいるときに、外の騒音がうるさいと感じれば窓をきちんと閉めれば静かになる。
しかし、穴の開いた幌ではきちんと窓を閉めることができない建物のように騒音をシャットアウトすることができない。
幌を張り替えることによって静粛性が向上し、幌の穴から空気漏れがなくなることで、エアコンの効きも向上するのは間違いない。
変化B幌の色を変えることでイメチェンできる
髪の毛を黒から茶色、赤などに染めるとその人の印象は大きく変わる。
オープンカーにとっての幌は、人間のカツラのようなものであり、幌の色を変えることで愛車のイメージを大きく一新させることができる。
痛んだ幌を交換するときに、純正以外のカラーを選ぶことで愛車のイメージを気軽に変えられることは「幌の張替え」のメリットである。
走りや防犯性を重視したいなら「ハードトップ化」
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走りを第一優先する人にオススメなのが「ハードトップ化」
オープンカーはスポーティーな車種が多く、サーキットなどで走りを愉しむためにオープンカーに乗っている人も多い。
そんな走りを第一優先する方にオススメなのが「ハードトップ化」である。
ハードトップ化することで得られる様々なメリットについてお話しよう。
メリット@軽量化できる
幌をすべて撤去し、ハードトップ化することでS2000の場合は約9s軽量化することができる。
車の最も高いところにある部分の軽量化は走りに効果的で、走りにこだわるBMWのMモデルがCFRP製の軽量な屋根に置き換えていることからも明らかである。
メリットA幌を残したまま、ハードトップ化も可能
幌を全撤去せずにハードトップ化することも可能である。
幌を残したままハードトップを装着する場合、S2000は20sほど重量アップしてしまう。
しかし、ハードトップ化することで幌の痛みを気にしなくて良くなるため、青空駐車でも精神衛生が保たれることも「ハードトップ化」の大きなメリットである。
メリットB安全性や防犯性もアップ
ハードトップ化することで得られるメリットは他にもあり、幌では心配だった安全性や防犯性もアップする。
幌では刃物などで切りつけられる「いたずら」の心配があるが、ハードトップ化することで心配無用になる。
また、横転の際も幌では命とりになるが、ハードトップ化によって横転から身を守れるかもしれません。
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メリットC室内の快適性もアップ
ハードトップ化することで室内の快適性は大幅にアップする。
幌の張替えも快適性がアップするが、ハードトップ化の方が得られる恩恵は大きいのは確かである。
夏場になると幌から5cmくらいの範囲の空気が太陽光で熱せられ、幌を閉めているにもかかわらず、頭の上がホットになる。
背の高い人は頭上がとても暑くなることに悩まされることだろう。
この悩みはハードトップ化することで改善される。幌のようにビニールやキャンバス地ではなく、アルミやカーボン製になることで熱が遮断され、頭上の暑さが軽減される。
メリットD風切り音も小さくなる
オープンにしているときは気にならない風切り音だが、幌を閉めると途端に気になり出すものである。
実際に高速道路を走っていると、速度を上げるに従って、幌がバタバタして気になる。
この悩みもハードトップ化することで解決できる。
幌は速度が上がってくると空気抵抗になるが、ハードトップではスムーズに屋根上を空気が流れることで、風切り音が小さくなる。
また、リアにGTウイングなどを付けている場合、幌に比べてハードトップの方がGTウイングの効果を得やすいというメリットもある。
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ハードトップ化の問題点とデメリット
「ハードトップ化」にもデメリットはある
今までハードトップ化のメリットばかり挙げてきたが、もちろんデメリットもある。
このデメリットを許せる人はハードトップ化した方が幸せになれるかもしれない。
デメリット@気軽にオープンにできなくなる
オープンカーがオープンカーでなくなる瞬間と言ったら良いかもしれない。
ハードトップ化することで一切オープンに出来なくなるわけではないが、毎回毎回ハードトップを外してオープンにするのは私なら面倒くさくてやりたくない。
デメリットAオフ会では仲間外れで寂しい
S2000のオフ会に参加したときのことである。
私自身オフ会に参加するのは初めてで勝手がよくわからないが、どうやらオープンカーのオフ会はみんなオープンにして走るのが暗黙のルールのようである。
オフ会に参加していたS2000の中に、ハードトップ仕様のS2000が3台参加しており、その人はずっとこう言っていた。
「あ〜俺もオープンにして走りたいな〜。1人だけハードトップだとなんだか仲間外れみたいじゃん。」
S2000のオフ会にS2000で参加して疎外感を感じるなんて、こんなに悲しいことはないだろう。
デメリットB1人ではハードトップは外せない
意外と知られていないが、ハードトップは1人では外せない。
ハードトップ自体がかなり大きく重量もあるため、1人で外すのは危険だからである。
バランスを崩してフロントガラスを割ったり、ボディを傷つけたり、はたまた自分の腰を痛めたりとリスクが多い。
オープンにするのにわざわざもう1人協力してくれる人を探さないといけないなんて、私には面倒で我慢できない。
そんな面倒な思いをするくらいなら「オープンにしなくていいや」となってしまいそうである。
デメリットC出先で雨に降られたら一巻の終わり
「よし、天気は晴れた。さあオープンにして走りに行こう!」と意気込んでハードトップを外し、ドライブに行った先で、天候が急変して雨が降り出したら一巻の終わりである。
こればっかりはどうしようもない。
オープンカーは走っていれば雨に濡れることは意外とないが、信号待ちではもはやX-JAPANのENDLESS RAIN状態である。
やはり、天気のことが気になってしまい、オープンで走ることはほぼなくなる。
出先で車から離れるときも幌が無いので、盗難のリスクが高くなるのもデメリットである。
デメリットD外したハードトップの置き場がない
意外とハードトップ化の盲点かもしれないのが、外したハードトップの置き場問題である。
広いガレージがあってハードトップを掛ける台まで完備されていれば問題ないが、私を含めそんなガレージやスペースがある人の方が珍しいと思う。
ハードトップは高値で取引されているため、家やアパートの中にしまって盗難を防ぎたいところだが、そんなことはおそらく許されない。
家の中にハードトップがあったらかなり邪魔だし、子供がケガをするかもしれません。
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気になる費用は?「幌の張替え」の場合
出典:GTNET
「費用」は純正より社外品の方が安い
基本的に社外品の方が割安なことが多い。
S2000の場合、工賃込みで純正幌だと20万円前後と高額だが、社外幌だと14万円〜で張替えできるようである。
幌の張替えに掛かる費用で言ったら社外品の勝ちである。
「幌のハリ」は純正幌の方が良い
幌を閉めたとき、純正幌の方がハリがあると言われている。
肌と一緒で、幌もハリがある方が若々しく好印象に見える。
幌のハリを重視するなら純正を選べば間違いないだろう。
「幌の色」を変えられるのは社外幌
S2000の場合、純正幌は黒や紺しかないが、社外幌は黒や紺の他に、赤やベージュ、タンなど様々な色を用意しているため、幌の張替えによって愛車を手軽にイメチェンすることができる。
黒や紺で色気のなかった純正幌から社外幌にすることで、オープンカーの色気を手に入れられるメリットは社外幌の特権である。
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気になる費用は?「ハードトップ化」の場合
ハードトップにするには周辺部品や車体側の改造が別途必要
S2000の場合、ハードトップ化するにはハードトップを購入するだけではダメである。
ハードトップ購入に加えて周辺部品が必要になる。
また、本来オープンカーであるものにハードトップを装着するため、車体側に改造が別途必要になるのも工賃などが掛かって割高である。
ハードトップの素材で大きく変わる
やはりドライカーボンは高く、アルミやFRPはおよそ半分くらいの価格になる。
S2000の場合、主に純正、無限、スプーンからハードトップが出ており、素材は純正がアルミ、無限がドライカーボンとGFRP、スプーンがFRPを使用している。
純正はすでに廃盤になってしまったため、ヤフオクなどで見つけるしかなく、大体20万円オーバーで取引されている。
無限はドライカーボンとFRPがあり、ドライカーボンはなんと58.1万円!高い。
なかなかポンと出せる金額ではないだろう。
FRPだと約半分の31.3万円になり、こちらは少し手が出やすいお値段である。
スプーンはFRPだが40万円程度で、TYPEONEでは塗装代が10.5万円、取り付け工賃が5.5万円の計56万円で装着できるようである。
どのハードトップを選んだとしても幌の張替えに比べて、コスト高になってしまうのは避けられない。
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ハードトップ化は幌の張替えの2〜5倍お金が掛かる
幌の張替えは社外幌を選べば14万円程度でできるが、ハードトップ化は幌の張替えの2〜5倍お金が掛かると思っておけば間違いない。
車種によって変わってくると思うが、やはり部品の単純な交換と、構造自体を変えるような大掛かりな改造では、後者の方が高額な費用が必要になるのは仕方ないことだと思う。
やっぱりオープンカーはオープンにして走るのが最も自然で美しい
私のS2000も幌に穴が開いており、そろそろ手を打たないといけないタイミングに差し掛かってきている。
そんな私がこの記事をまとめて思ったのが、やっぱりオープンカーはオープンにして走るのが最も自然で美しいということである。
ハードトップ化するには多額の資金が必要だし、仮にその資金が潤沢に用意できたとしても私は幌を張り替えるだろう。
なぜなら、私はオープンカーに乗っているのだから。