孤高のNAロータリー!RX-8(後期)をS2000乗りがバカ正直に試乗レビュー!

比較対象の愛車S2000はチューニングカーである(S2000をもっと愉しむチューニング

 

比較対象は愛車S2000 タイプV(AP1-130系)

 

私の愛車はS2000である。ワゴンRで通勤する一方、休日はセカンドカーである「S2000」に乗る。

 

ホンダ50周年記念として開発され、市販車としては異常なまでのこだわりを持って世に出された。

 

S2000のためだけに専用設計されたシャーシ、エンジン、ミッションなどによって、その走りはかのF1を彷彿とさせるレーシングで官能的なものである。

 

私にとってS2000は単なるスポーツカーではなく、心の拠り所であり、私の魂である。

 

そこで今回は、スポーツカーをこよなく愛するS2000乗りの私が、孤高のNAロータリーエンジンを搭載するFR車「マツダRX-8 後期」に試乗して感じたことをまとめてみた。

 

S2000乗りのバカ正直な試乗レビュー!噂のあの車の走りはいかに?

 

 

 

「RX-8 後期」のスペックをS2000と比較

ワインディングロードにて試乗させて頂いた「RX-8 後期」

 

RX-8 後期と愛車S2000のスペックを比較してみた
主要スペック RX-8 後期 愛車S2000(AP1-130系)タイプV

エンジン
(内径×行程)

13B-MSP (NA)ロータリー
(2ローター)

F20C (NA)直4
(87.0mm × 84.0mm)

排気量 1308cc 1997cc
馬力 235PS / 8200rpm 250PS / 8300rpm
トルク 22.0kg・m / 5500rpm 22.2kg・m / 7500rpm
車重 1350kg 1270kg
駆動方式 FR FR
トランスミッション 6MT 6MT
サスペンション(前/後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク 前後ダブルウィッシュボーン

 

同じ「NAの国産FR車」としてS2000とRX-8はよく比較される存在である。

 

今や「失われてしまった」ロータリーエンジンを愉しめる希少な車「RX-8」の走りはどれほど愉しいものなんだろうか?

 

実際に試乗して、両者の特徴を比べてみようではないか。

 

ちなみに今回試乗したRX-8は 、ディーラーによる街乗り試乗ではなく、ワインディングロードでの試乗レビューである。

 

ルマン24hを制した孤高の「ロータリー」エンジンの魅力とは?

 

スポーツカーのエンジンとして愉しいエンジンはどっち?

RX-8のエンジンルーム

愛車S2000のエンジンルーム

 

「ウルトラスムース」でどこまでも回ってしまいそうな感覚

 

RX-8のエンジンは、マツダ入魂のNAロータリーエンジンである。

 

排気量は1308ccだが、実質レシプロエンジンの2L相当と言われており、対する愛車S2000と実質同クラスである。

 

カタログでは235馬力をマークするRX-8のエンジンはどれほど愉しいだろうか?

 

ワインディングロードを走行した感想としては「カタログ値ほどパワー感がないものの、気付いたらレッドゾーンまで回ってしまうほどにウルトラスムース」と感じた。

 

RX-8のパワー感はNAのS15シルビアよりはパワフルだが、S2000と比べると明らかに劣る。

 

86/BRZも試乗したことがあるのだが、RX-8のパワー感と近いのではないかと感じた。

 

S2000とRX-8はともにNAで9000回転まで回せる「超高回転型」エンジンであるが、レシプロエンジンであるVTECとロータリーエンジンのフィーリングはびっくりするほど異なるものであった。

 

荒々しくドラマティックなS2000とモーターみたいに独特なRX-8

 

レッドゾーンが同じ9000回転の2つのエンジンだが、レッドゾーンに達するまでの「演出」はまるで違う。

 

S2000のVTECエンジンは、6000回転あたりから上はまるで「レーシングカー」のように、甲高いホンダミュージックを奏でながら、豪快に荒々しく9000回転まで昇り詰めていく感覚である。

 

それに対してRX-8のロータリーエンジンは、アイドリングからレッドゾーンまで「涼しい顔」をしながら回っていく。

 

「レッドゾーンなんて形式的にあるだけなんじゃないの?」って本気で思ってしまうくらい、どこまでも回っていきそうな感覚なのである。

 

レッドゾーン間近で「警告音」が鳴るのもRX-8ならではで、アイドリング中の振動が異様に少ないのもロータリーエンジンの特徴だろう。

 

レシプロエンジンでは出せない独特のエンジンサウンドも含めて、ロータリーエンジンの「虜」になってしまう人がいるのも納得である。

 

アクセルレスポンスはS2000の方が上

 

分かりやすくカムが切り替わって、高回転域でまるで別人のようにレーシングエンジンになるS2000とロータリーエンジンのRX-8では、アクセルレスポンスにも差があった。

 

純粋なアクセルレスポンスというより、エンジンパワーと車重から来る「加速の良さ」でS2000の方がアクセルレスポンスに優れていると感じるのかもしれない。

 

だが、VTECに入ると脳みそとエンジンが直結したかのような鬼レスポンスで反応するS2000の気持ちよさと比べると、「その気にさせてくれる感」がRX-8には物足りないと感じた。

 

吸気温センサー移設でS2000の封印されしパワーを目覚めさせよ!

 

コーナリングが愉しいのはどっち?

RX-8 後期は乗った瞬間「スポーツカー」

RX-8 後期と比べると愛車S2000の内装はめっちゃシンプル

 

軽量コンパクトなロータリーエンジンから来る「圧倒的なコーナリングスピード」

 

RX-8はS2000より100kgくらい重い「クーペの形をした4枚ドア」だが、コーナリングスピードにおいては半端じゃなく速い。

 

それは「軽量コンパクト」なロータリーエンジンの恩恵だろう。

 

軽量コンパクトなロータリーエンジンをフロントミッドの低位置に収め、優れたシャーシと50:50の前後重量バランスで、コーナリングスピードはS2000を超えているかもしれない。

 

安心感のあるニュートラルステアなRX-8とピーキーで乗り手を選ぶS2000

 

RX-8は半端じゃないコーナリングスピードにもかかわらず、恐ろしいほど「安定」したコーナリングであり、S2000のもつカミソリのような緊張感あふれるピーキーさは微塵もない。

 

これはRX-8のシャーシがエンジンパワーに対して「完全に勝っている」からである。

 

マツダのオープンカー「NCロードスター」と共通のプラットフォームに、屋根を付けてモノコックボディ化したRX-8のボディがエンジンパワーに勝るのは当然である。

 

プロドライバーの感覚的には100馬力分くらいシャーシが勝っているようである。

 

そのため、サーキットで全開走りをしても「安全に愉しめる」だろう。

 

愛車S2000でサーキットを全開走行し、派手にクラッシュした私は、まだまだS2000の乗り手としては認められていないということである。(笑)

 

フレーム修正級のクラッシュの修理代は?S2000でクラッシュしてみてわかったこと

 

ブレーキング、ヒール&トゥが愉しいのはどっち?

RX-8:片押しキャリパーだが、純正状態でビッグローター化

愛車S2000:ENDLESSの鍛造モノブロックキャリパー+FD3Sリアブレーキ流用

 

RX-8は純正ブレーキのままでも国産最強クラスの制動力

 

ロータリーエンジンは「エンジンブレーキの効きが弱い」という特徴を持っており、スポーツドライビングをするうえでブレーキの負荷が心配である。

 

そのため、RX-8だけでなく、先代のRX-7もブレーキはライバル達よりも1サイズ大きいものが奢られており、純正状態ではS2000に比べて前後とも1インチ分ビッグローター化されている。

 

その結果、RX-8は制動力テストにおいて長らく国産トップの成績を残しているのである。

 

対する愛車S2000は、ENDLESS「RacingMONO4」でS2000のフロントブレーキを強化せよ!によって、RX-8より「リアル」なブレーキングを愉しむことができる。

 

巌のようなキャリパーの剛性感と踏力に正確に反応する点は最高なのだが、愛車S2000でABSを効かせるほどのハードブレーキをするには、それこそ「蹴っ飛ばす」くらいの踏力が必要である。(笑)

 

RX-8のペダル配置はヒール&トゥしにくい

 

「ヒール&トゥ」はMTスポーツカー乗りにとって運転を愉しむのに欠かせない「儀式」であり、ヒール&トゥが気持ちよく決まるかどうかは、スポーツカーの評価に直結するのである。

 

その点、RX-8はヒール&トゥがやりにくいのが残念である。

 

ブレーキとアクセルペダルが離れており、なおかつアクセルペダルが短いため、かなりかかとをひねらないと難しい。

 

さらにアクセルペダルがブレーキペダルに比べて、結構奥にオフセットされているのもヒール&トゥを難しくしている原因である。

 

初めてサーキットの走行会に一人で参加してみてわかった3つのこと

 

結論:RX-8にはRX-8でしか味わえない世界がある

RX-8

 

唯一無二のNAロータリーエンジンの魅力を愉しむにはRX-8しかない

 

カタログほどのエンジンパワーはRX-8には感じなかったものの、「曲がる、止まる」のレベルが非常に高いために「物足りなく」感じてしまうのだろう。

 

「もしもRX-8がRX-7と同じようにターボ+ロータリーだったら…」と妄想してしまうほどに、RX-8の走りのポテンシャルは高い。

 

だが、愛車S2000と同じように、RX-8もまた「この車でなければ味わえない世界がある」のも事実である。

 

圧倒的なコーナリングスピードや強力無比なブレーキは、軽量コンパクトなロータリーエンジンだからこそ成しえる走りなのである。

 

モーターのようにどこまでも回っていきそうな「フィーリング」や、レシプロエンジンとは明らかに異なる「エキゾーストノート」を含め、RX-8でなければ味わえないものは多い。

 

愛車S2000とは全く異なる思想のもとに生まれた車だが、同じくらい魅力的なスポーツカーの1台である。

 

S2000乗りのバカ正直な試乗レビュー!噂のあの車の走りはいかに?

 


HOME 空力ワゴンRの詳細はこちらから! S2000チューニング日記 「福ちゃん」のプロフィール