燃費に悩む「セダン」をボルテックスジェネレーターによる空力チューンで攻略せよ!
母親の知り合いのレクサスIS(空力チューン済の写真)
「セダン」車に空力チューン!
たまたま母親の知り合いから大型テレビを譲り受ける際に、運搬車としてワゴンRを乗っていったときに今回の依頼が発生した。
空力チューンで実燃費30km/Lを超えろ!の実験車両であるワゴンRは、思い付く空力チューンをどんどん試しているため、なかなかクレイジーな見た目になっている。
その場でワゴンRに施した空力チューンに関して色々な質問を受け、「空力チューンで燃費が上がる」と伝えたところ、「それだったら俺の車にもやってくれ」ということになった。
その車がレクサスISで「セダン」タイプのボディ形状をした車であった。
「セダンの燃費が悪い、何とかならないか?」
燃費が良くなるなら、空力チューンをやってみて欲しい
話を聞いたところ、仕事と家の往復がメインの街乗り車ということがわかった。
時折、遠出などで高速道路を利用することがあるが、基本的な用途は通勤や買い物の「足」ということである。
普段の用途では「リッター7km」くらいの燃費だそうだ。
近距離走行+ガソリン車の組み合わせでは仕方のない燃費だと思うが、できるなら燃費向上したいとのことであった。
そこでボルテックスジェネレーターとアルミテープチューンで街乗り限定車の燃費を上げろ!で実際に街乗り限定車の燃費が(11km/L→14km/L)と30%近く向上した実績がありますよとお話したところ、
「俺にもやってくれ」となった。
そこで今回は、ボルテックスジェネレーターによる空力チューンと、インナーフェンダーのアルミテープチューンを行い、燃費に悩む「セダン」の燃費が向上するかどうか試してみることにした。
インナーフェンダーのアルミテープチューンについては、
空気抵抗低減だけが能じゃない!アルミテープで燃費を上げるもう一つの方法とは?
と同様の内容のため、省略する。
ボルテックスジェネレーターで空気抵抗を減らせ!
愛用の星光産業のボルテックスジェネレーターを使用
ワゴンRでは効果抜群の「ボルテックスジェネレーター」による空力チューン
車体後方で流速の低下が引き起こす「境界層の剥離」を防止し、車体後方に発生する負圧を軽減する効果がある。
これによって空気抵抗が大きくなってくる60km/hあたりからの抵抗感がかなり減り、スムーズに前に進むようになるのである。
この空力チューンの効果は既にワゴンRで実証済みであり、12%燃費が向上した実績がある。
詳しくは以下の記事を参考にして頂きたい。
空力チューン第1弾!流体力学の応用!嵐を呼ぶ男「ボルテックスジェネレーター」編
「セダン」とワゴンRで大きく違うのはボディの形状であり、セダンはルーフの後にトランクがある。
そこで今回は、セダンのボディ形状に合わせて最適なボルテックスジェネレーター装着位置を「5か所」提案してみることにする。
@カナード的に「フロントバンパー横」にボルテックスジェネレーター
ボディカラーに合わせてボルテックスジェネレーターもつや消しブラック化
ボルテックスジェネレーターで車体横の気流をコントロールせよ!
フロントバンパーサイドに位置するカナード的ボルテックスジェネレーターの空力効果と燃費に与える影響とは?にも書いているが、「コアンダ効果」とよばれる物体の形状に沿って流体の流れが曲がるような効果がある。
だがこれには限界があり、急激な形状変化には付いていくことができない。
これは高速道路などでスピードレンジが上がるほど、融通が利かなくなるのは想像できると思う。
つまり、元々空気が持っているコアンダ効果にプラスして何かアシストしなければスピードレンジが上がったときに空気が剥離しやすくなってしまうということなのである。
なるべく車体横の空気を剥離させずに纏わせておくことで、直進安定性は段違いに向上する。
車体フロントにぶち当たった空気が車体横を流れていくときの形状変化は非常に大きい。
つまり、この形状変化で空気が剥離しないようにボルテックスジェネレーターをフロントバンパー横に装着する必要があるのである。
A風切り音低減!「ミラー前」にボルテックスジェネレーター
出典:走行時の風圧シミュレーション
大きな空気抵抗の原因になる「ミラー」を攻略
この画像は走行時の車体が空気によって受ける圧力をシミュレーションしたものである。
赤い部分ほど圧力が高く、青い部分は圧力が比較的低いことを表している。
画像を見ればわかるように、ミラーは真っ赤になっているのである。
また、ミラーの後方には空気の渦が出来てしまっていることが一目瞭然である。
走行中に聞こえる「風切り音」も人間の耳に近い「ミラー」付近から発生している可能性はかなり高い。
風切り音が発生しているのは空気が綺麗に流れていない何よりの証拠であり、燃費向上、静粛性向上のために対策する必要がある。
そこで、ボルテックスジェネレーターによる空力チューンをミラーに施すことによって風切り音を無くし、燃費と静粛性の両方を手に入れるのが目的である。
ボルテックスジェネレーターによる空力チューンでミラーの風切り音を攻略せよ!
B定番の「テールランプ横」にボルテックスジェネレーター
テールランプ横に片側2個ずつ装着
もはや純正採用レベルの効果があるド定番位置
テールランプ横は今では当たり前のようにボルテックスジェネレーターが装着されている箇所である。
特にトヨタやレクサス車はセダンだけでなく、ミニバンやSUV、コンパクトカーでも当たり前のように装着されており、燃費命のプリウスでも標準装備である。
なぜプリウスは燃費が良いのか?答えは徹底的に空力性能を磨いたボディ形状にあり!
テールランプ横にボルテックスジェネレーターを装着することによって、流速が落ちて剥離しがちな車体後部の空気の流れを再び車体に纏わせる効果がある。
それによって直進安定性が向上するのはもちろんのこと、空気が上手く流れずに剥離してしまった結果として発生する強い「負圧」を抑制することが可能になる。
その結果、車体前後の圧力抗力が減り、スムーズに走ることができる。
燃費も当然のことながら向上する。
ボルテックスジェネレーターを使って燃費を12%上げた方法
Cディフューザー的に「リアアンダーパネル」にボルテックスジェネレーター
出典:ムーンクラフト
車体下の空気の流れを流線形に近づけ、ダウンフォースも手に入れる
今回空力チューンを施す車には純正で「リアアンダーパネル」が装着されている。
だが、バーチカルフィンの類は付いておらず、リアアンダーパネルの性能が100%引き出されているとは言えない状態である。
そこで、ボルテックスジェネレーターでリアアンダーパネルの性能を引き出すことにする。
ムーンクラフトの「空力研究所の秘密」というブログによるとなんとバーチカルフィンの有無によって83%もダウンフォースの量が変わってくるという結果がある。
ボルテックスジェネレーターがリアディフューザーのバーチカルフィンの代用になることは、
空気抵抗軽減だけがボルテックスジェネレーターじゃない!ボルテックスジェネレーターでリアディフューザーの性能を引き出せ!で既にわかっている。
バーチカルフィンほどではないにせよ、ボルテックスジェネレーターがあることによって生じる「渦」によってリアディフューザー表面の流速が上がり、空気の剥離を防ぐことによってより強力なダウンフォースを稼ぎ出すことができる。
ダウンフォースを稼ぎつつ、空気の流れを流線形に近づけることができるため、燃費向上効果も高いはずである。
Dセダン特有の「ルーフ」にボルテックスジェネレーター
空気抵抗と密接な関りがある「境界層剥離」、その原理とメカニズムに迫る!
「境界層剥離」をボルテックスジェネレーターで食い止めろ!
私が普段から乗っているワゴンRと今回依頼された「セダン」の決定的な違いは、「ルーフ」から後の構造である。
ワゴンRは基本的にコンパクトカーやミニバン、SUVなどと同じで、「ルーフ」が車体後端まで続く。
それに比べて「セダン」はルーフを流れる空気はトランクの方に吹き降ろすように流れる違いがある。
上の画像のように形状変化する箇所では、境界層剥離が発生しやすい。
どれほどなだらかにルーフからトランクまでを造形したとしても、境界層剥離は発生してしまうものである。
真っ平な形状でも境界層剥離が発生することが知られている。
つまり、境界層剥離が発生すると思われる場所の直前にボルテックスジェネレーターを装着することで、流速を復活させ、境界層剥離を抑制するのが狙いである。
ルーフ後端にボルテックスジェネレーターを装着することで、空気が剥離せず、スムーズにトランクまで流れていくはずである。
その結果として空気抵抗軽減はもちろん、ダウンフォースも狙えるかもしれない。
もしトランクスポイラーやダックテールスポイラーを装着すれば、性能をフルに発揮させることができるはずである。
「ダックテール」スポイラーだけが持つ、GTウイングには無い意外な空力効果とは?
燃費に悩む「セダン」の燃費を上げることは出来たのか?
ルーフ後端にボルテックスジェネレーター4個
平均22km/hの低速街乗りで8.1→8.9km/Lに約10%UP!
今回、ボルテックスジェネレーターとアルミテープチューンによるダブルの効果によって燃費が約10%向上することがわかった。
レクサスISの機能に平均時速を計測する仕組みがインストールされているらしく、施行前と同様の走行パターンでは平均時速は22km/hとかなり低速であることがわかった。
街乗りのみのため、非常にスピードレンジが低く、ボルテックスジェネレーターの効果はかなり限定的であると考えられる。
街乗りのみでも高い効果があったノートや愛車ワゴンRなどのハッチバックや背の高いワゴン車に比べ、元々空力性能に優れたセダンであるレクサスISではボルテックスジェネレーターの効果は控えめなのであろう。
実際、施行前と後で走行フィーリングに違いはみられなかったとオーナーから聞いている。
しかしながら、近場の街乗りだけでなく、遠出等で高速道路や地方の空いている郊外路を走行すれば、ボルテックスジェネレーターによる燃費向上効果はもちろんのこと、直進安定性やダウンフォースも体感できる可能性は十分考えられる。
今回、「街乗り」+「セダン」という空力チューンの効果が最も出にくいパターンでありながら、約10%燃費向上させることができて、私としては一安心である。
走行条件や車種に関係なく効果のあるインナーフェンダーのアルミテープチューンに救われたのかもしれない。(笑)
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