フロントのダウンフォース向上にダクト付きフロントフェンダーが有効な理由

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ワイドフェンダー化すると高確率でダクト付きになる

サーキットでの速さを競う「チューニングカー」の外見でとにかく目立つのは、「ワイドフェンダー」だろう。

 

ワイドフェンダーは純正フェンダーでは履けないような太いタイヤを履いてタイムアップをするために導入されることがほとんどである。

 

そんなワイドフェンダーだが、大きく分けて「ダクト付き」と「ダクト無しの純正形状」の2つがある。

 

純正の雰囲気を大事にしたい人は純正形状のワイドフェンダーか純正フェンダーを叩き出すことで対処することが多い。

 

しかし、タイムアップを狙う多くのドライバーは「ダクト付き」のワイドフェンダーを好んで使用する。

 

そこで今回は、速く走るための空力チューンという観点から「ダクト付き」ワイドフェンダーを考えてみよう。

 

速く走るための空力チューン大特集!

 

 

 

ダウンフォースを発生させる方法は2つある

出典:トップフューエルS2000

 

「ダクト付き」ワイドフェンダーは車体下のダウンフォースに影響する

車体下のダウンフォースは、水道の水をホースで遠くに飛ばすことと全く同じなのである。

 

おなじみのベルヌーイの定理の応用で、ホースの中を通る水の流速を速めれば圧力が下がるというものである。

 

つまり、車体下の空気の流速を上げることで車体下の圧力は下がり、結果的に負圧となるため圧力差によってダウンフォースが発生する。

 

フロントのダウンフォースのカギを握る「フロントアンダーパネル」の効果を最大限に発揮させる方法 

 

これはベンチュリー効果と呼ばれ、意識的にスポイラーやディフューザーなどで空気の流れを絞ることで、意図的にダウンフォースを発生させることが可能になるのである。

 

フロントに溜まった空気をダクトから抜く→ダウンフォース発生

出典:パラシュート

 

溜まった空気を開放する=流速を上げる

私がワゴンRやってきた空力チューンに「空力チューン第4弾!リアバンパー穴開け加工でパラシュート効果をやっつけろ!」がある。

 

これはリアバンパーに穴を開けることで、車体前後の圧力差をなくすことである。

 

簡単に言えばパラシュートに穴を開けることである。

 

パラシュートに穴が開けば一気に急降下することは誰でもわかることである。

 

これはパラシュートの内側と外側に発生していた「圧力差」が、パラシュートに穴を開けることで一気になくなってしまうことで引き起こされるのである。

 

つまり、これと同じことを私はワゴンRで実践して、その効果には驚いたほどである。

 

ダクト付きワイドフェンダーもパラシュート効果と同じ仕組み

普通の車はハイスピードで走行していると、ダウンフォースは発生せず、むしろ車体を持ち上げる方向に空力が働いてしまう。

 

レーシングカーを見てもらえばわかると思うが、レーシングカーはそこら中にダクトが設けられている。

 

これはハイスピードで走行中に車体を持ち上げようとする、圧力の高い流速の遅い空気をダクトから抜くことで、圧力を低くするとともに流速を上げようとしているのである。

 

とてもシンプルなことだが、積もり積もればレーシングカーのような強烈なダウンフォースを発生させることができる。

 

空力は単純な足し算ではなく、色々なものが複合的に影響し合っている。

 

そのため、ひとつひとつ丁寧にチューニングしていくことで、驚くようなパフォーマンスを発揮することができるのが面白いところである。

 

ダウンフォースが発生する原理や仕組みは市販車とF1で変わらない理由

 

フェンダーにある工夫をするとより効果的にダウンフォースを稼げる

出典:911 GT3

 

上側に「ルーバー」をつけよう

フェンダー上部に「ルーバー」が装備されたワイドフェンダーを見たことはないだろうか?

 

実際に市販車に採用された例としてポルシェ911 GT3が挙げられる。

 

ルーバーと呼ばれるサメのエラのような空気の排出口が設けられている。

 

このルーバーがフロントダウンフォースを向上させるのに重要な働きをしているのである。

 

ルーバーをよく見ると、土手のように反り上がっているのがわかる。

 

この「反り」に空力的なアイディアが込められている。
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ただ単にフェンダー上部に穴を開けただけでは思うような空力的な効果は得られないが、穴の前に「反り」のように壁を作ることで、強制的に「負圧」を作り出すことができる。

 

空気を効率よく抜くためには「負圧」の力を上手く利用する必要がある。

 

メカニズム的には、走行風が反り立つ壁によって上に跳ね上げられ、車体表面から剥離する。

 

その剥離した瞬間に、本来走行風が通過するはずだった場所の圧力が減り(負圧発生)、負圧によってフェンダー内の圧力の高い空気が強制的に、ルーバーから外に排出される仕組みである。

 

これは走行風がダイレクトに直撃するフェンダー上部だからこそ成り立つ空力チューンである。

 

これがフェンダー横などの場合、タイヤやホイールでかき乱されてしまうため、思うように走行風の恩恵を受けられず、スムーズにルーバーから空気を抜くことができない。

 

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ダクト付きワイドフェンダーに交換するとハンドリングが良くなる

出典:アルボーS2000

 

フロントタイヤの接地感が良くなる

つまり、サーキットなどで積極的にタイムアップを狙う場合、よりダウンフォースを稼げるルーバー付きワイドフェンダーはオススメである。

 

GTウイングのようにダウンフォースのためにドラッグを増やすことなく、効果的にダウンフォースを稼ぐことができる。

 

タイヤの接地感も高まり、フロントタイヤからのインフォメーションもより的確に伝わってくるため、スポーツドライビングがより一層愉しいものになるに違いない。

 

個人的にもS2000の純正フェンダーをヤフオク等で安く入手&DIY加工して、空力的な性能を比較検討してみたいものである。

 

速く走るための空力チューン大特集!

 

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